ネコクインテット
「課長、彼らが到着しました!」
乗ってきたセスナを降りる五匹のニャンコ。陽炎の中、悠然とこちらに向かい歩いてくる彼らの名はーー。
「警視庁が誇る特別潜入班。Gニャンだ」
愛くるしい顔と丸い体。ふわふわのしっぽを駆使し、犯人の懐にすっぽりと入り込む彼らに解決できない事件はない。
ボスは全身を黒で覆い、犯人の内面の闇に紛れ、瞳を光らせるクロキテツニャ。四匹の部下たちを指揮し、闇夜の現場に小さな足音を心地よく響かせる。その音色はさながら、ネコクインテットーー。
「課長、関にゃんの様子が変です」
関にゃん。路地裏で長年暮らし、下町をこよなく愛する、熱血感の純白ニャンコだ。一年前拝見したときはギラギラと正義に燃えていたのに、今はキラキラと、さながら聖職者のような瞳をしている。
「彼は殉職した」
「は? いやそこに」
「彼が住む町に、自治体のガサ入れがはいり、タマをとられたんだ」
関にゃんを遠い目で見つめる課長は、自身のタマを両手で押さえていた。
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