一瞬の風になれ。終焉。

東京公演が終えて、一週間、間を開けての相模原公演。

間も空いてしまったし、思い出し稽古もしてないし、膨大なきっかけに、ランニングマイムのカウント(走るシーン、あれカウント合わせなんです)は覚えているのだろうか・・・不安を若干抱えながら相模原公演の場当たりは始まりました。

しかし、役者達はまったくゆるむことはありませんでした。むしろ気合入ってた。すらすらとテンポよく進み、橋本、杜のホールの大きさが芝居にあってたのか、熱量がビンビンくる。ブラボー!と思いながら、場当たりは進んで行きました。

「一週間、間空いても覚えているもんなんだね。誰かしらランニングマイムのカウントは忘れてると思ってた」

って言ったら、守屋役の山木透が

「カウントはもう数えてないんです。体が覚えているんで」

ってハードボイルドに、それこそ守屋ばりに言ってくれて、おおーっ!となりました。周りにいた役者もうなずいていたからみんなそうなんだろう。すごいなあ、こいつら・・・。

そんなこんなで開演が迫る。

「平日だし、相模原でそんなにお客様来るわけ・・・あれ?ロビーにやけにひとがいる・・・え?・・・!」

麻溝台の高校生も来てくれたり、OBOGのみんなが来てくれただけではない、当日券も増えてた模様で・・・そう客席は埋まりつつありました。

そして、相模原公演開幕!

いや、これはいい!いいぞ!

終演後の挨拶で、大塚先生役の大誠さんも言っておりましたが、気合の入った相模原公演初日となったのでした。

カーテンコールでの惣昭の挨拶も成長が見えて、いい顔になってた。

みんなで上へ行く・・・大塚先生のセリフじゃないけど、ほんとうにそうだなあこの座組みは・・・と思ったのでした。

相模原初日のカテコ挨拶は、大塚先生 役の宮本大誠さんと神谷父 役
野村宏伸さん。

今回このお二人がいたからこそ、引き締まったと思うんです。相模原の初日の挨拶はこの二人しかいないと思っていました。

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大誠さんは役者!全身からそのオーラが出てる。みんな刺激になったと思う。あんな歳の取り方したい。

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あの野村宏伸さんと舞台ができるとは、高校生の頃は思いもしなかったよなあ。出ていただけて本当に感謝です。ありがとうございます。

そして、次の日、二日目にて千秋楽。

早い早いと思いつつも、懸念がありました。

なんと、惣昭が前日の場当たりで足首を痛めていたのでした。

お気づきの方もいたと思いますが、テーピングしての初日だったのです。「痛い痛い」と言いながらニコニコしてる惣昭は本当に新二くんでした。その日の夜にすぐ病院にいってもらい、大きな怪我ではないことを確認はできたんだけど、まあ、心配です。

楽屋にいって「惣昭は?」って言うと、廊下をうろうろしてる。

「もう全然大丈夫です!」

やっぱりニコニコして言う。

本当は痛かったと思うよ。でもその言葉を信じて、見守ることにしました。

いつも通りに、10分前に気合入れの集合に立ち会う。

いつも通りだったけど、これが最後なんだと思い、春菜に「もう終わりだね、寂しいね」って言うと「そういうこと言わないでください」と怒られる。みると大きな目に涙をいっぱい溜めてた。可愛いなあ、本当に。

最後の最後の気合い入れ。

みんないい顔してた。

僕は客席へ。

果たして千秋楽は・・・座席は前日よりさらに埋まって、ほぼ満席?な感じでした。嬉しかったなあ。何より、原作の地元、相模原で人がたくさん集まってくれたのが嬉しかった。

カーテンコールの千秋楽の挨拶はこの二人って決めてました。

神谷新二 役、富本惣昭と一ノ瀬連 役、織部典成。

二人の関係性が、この物語の軸だし、稽古から二人が軸になっていたと思います。

ランニングマイムも、試行錯誤の繰り返しで、みんながいろいろトライしてくれて走る表現が深まったんです。

本当にありがとう。お疲れ様。

そしてカテコは千秋楽ともなれば、トリプルは行きたいところ。ただ退館時間の関係上、ダブルで緞帳を降ろすことになりました。

いきなり終わる感じがとても寂しくて、何かひとつエッセンス加えられないかなと思い、やってみたのがメインテーマのアカペラを流すってこと。

気合い入れをみんなでやって「ファイト!オー!」でサビからかける。

でもって、もちろん試す間もないからぶっつけ本番。音響さんと目配せしながらかけました。

うまくいったかと思います。まるでそこで歌ってくれているような。


♪君と紡いだバトン
忘れない 一瞬の風になる

伝わらない想いも
伝えたい気持ちも

涙こらえて
いま跳ねる


かくして緞帳が終わるタイミングでサビが終わり、ガッツポーズ。そのまま、すっと終演のSEをいれてもらいました。

すぐに楽屋に行く。

泣いてる、笑ってる、いい笑顔、みんなと握手、抱き合い、最高のエンディングでした。

そして急ぎロビーへ。

そう、高校の同級生である現相模原市長が観劇されたんです。

忙しいだろうに・・・

三十年ぶりの再会でした。

嬉しい感想もいただき、感無量でした。

他にもたくさん同期が顔を出してくれた。

二度と会うことはないと思ってた記憶の中の人たちに、一瞬でもあえて、みんなでつくった舞台を観てもらえて、また現役の高校生も観てくれて、バトンが次々に渡っていくのを目の当たりにした、奇跡みたいな舞台でした。

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神谷新二 役、富本惣昭。お疲れさん!たくさん泣いて、笑って、元気でみんなを引っ張ってくれてありがとう。気持ちのいい、まっすぐな奴。ラストの「バトンがつながっているんだね」のセリフが染みたなあ。

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一ノ瀬連 役、織部典成 センスがいいんです、こやつ。ランニングマイムの美しさは本当に連でした。芝居の話をずっとできる男。最後の二人でかけっこするシーンが大好きでした。

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谷口若菜役 、飯窪春菜 本当にあの高校にいた気がしてました。駅伝のシーン、何度も音をかけるタイミング調整したけど、最終的にあの形になったのは春菜の芝居合わせ。新二の「ファイトー」を聞いて、若菜の「うん」で音楽入れるんだけど、日によって「うん」までの間が違ってて。ちょっと沈黙あって、足音が響いて「うん」っていって音楽流れ出すのが最高に好きでした。

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鳥沢圭子 役 菅原りこ 稽古序盤から比べて、どんどん自分なりに鳥沢をつくっていってくれた、りこ。ジャージの着方とかも鳥沢っぽく着こなしてくれてた。「チキショー」のシーン。何度かやって、しっくりこなくて、最初は背中をむけて言ってもらってたんだけど(その方が伝わる気がして)、でも芝居がどんどんよくなっていったので前向いておもいっきり「チキショー!」って言ってもらうように変えたんです。変えてよかったよね。どんどんエネルギーが前に飛んできました。

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根岸康行 役 志村玲於 とっても難しいポジションだけど、実は多くの人が感情移入しちゃうのが根岸という役。ほとんどの人が連にも新二にもなれなくて、根岸な気がします。玲於らしく、すごくポジティブな根岸をつくってくれたと思ってます。そうだ、言うの忘れてたけど、ボンキュッポンやってたよな!?


そんなわけで、珍しくみんなと写真撮ったので、また改めて感謝をこめて載せていけられたらと思います。


*役者達への許諾は口頭で得ていますが、プライベートな写真ですので流用はご遠慮ください。また、マスクは写真を撮るタイミングで外せる人は外したり、外していなかったりしていますが、特に意味はありません。ご了承ください。



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