#5とニブンノイチ

国勢調査の回答を先程終えましたキタノが担当します。5年に一度ですって。2015年の記憶って絵と音を直ぐに呼び起こせますし、なにより“ついこの前”という全く捻りのない表現に口と脳が支配される状況にムカついてきたところであります。

5とニブンノイチは、ゲストなしコーナーなし、パワー系問わずがたり回となりました。

今回のタイトル、「芝浜」は人情噺として今日まで親しまれる名作落語だと称されます。
落語に関してあまり明るくないのでこれ以上はもう何も言えませんが、

「談志の芝浜 (グッドバイブス)
ブスのわがまま(バッドバイブス)」
-下駄を鳴らしてセプテンバー/ラブ地涼 feat.中島美嘉-


というフレーズのおかげで「立川談志=芝浜、談志の芝浜=たぶんイケてる!」と当時高校生のピュアな頭と心は無理矢理理解していた気がします。
あとは「志ん生の『富久』は絶品」というフレーズでしょうか。フレーズしか思い出せませんが、たしかに絶品だ!と思った気がします。

ちなみにこの二つに共通するのが、note内で度々登場する宮藤官九郎さん。前者はラジオの作詞コーナー、後者は大河ドラマ「いだてん」での北野武演じる志ん生。これをきっかけに落語に少しだけ触れることができました。

自分が聴いているラジオのパーソナリティを辿ると落語にルーツがある方、造詣の深い方が多いなという印象があります。
落語をあまり聴いてこなかった身からしても、フってオトす巧みな話芸に加え、人間の情けなさダメっぷりと、それを「テヘッ」で許される場に持ち込む感じには落語/落語家の"良い''人間味が染み出ているなと思ってしまいます。

ラジオも面白い話はもちろんのこと、失敗談や不満に思っていることを毒出ししている時に、親近感がわいたり言語化されたことでスッとしたり、そうして気づいた時にはパーソナリティを人間としてどうしようもなく大好きになってしまいます。

さて、タイトルにもなっている「芝浜」の成立経緯の話になりますが、客から貰った三つのお題
酔漢、財布、芝浜」をもとに作成された即興落語だという一説があります。

「酔漢」
読んで字の如く、ひどくグデングデンになってるひとです。

イチブンノイチには、千鳥足でやってきて問わず語ったかと思いきや、人間っていいなあとテロテロ涙を流し、スキップして暗闇に消えていく一人の酔漢が出現します。季節関係ないです。深い時間によく出ます。

例に漏れず、5とニブンノイチ回にも酔漢はやって来ました。しかも、今日の酔漢はワケが違う。あろうことかマイクジャック、電波ジャックまでやってのけ、一瞬で一帯を寄席に変えてしまいました。

「この世は舞台で、ウチらはそこの役者!」と昔どっかの国の凄い人が思っていたように、我々は社会を円滑に、安心して生きるために村人A、会社員B、父、ヒロシの友達等々の役を自然と演じ分けているのでしょう。スーパー売れっ子役者と言っても過言ではない。
酔漢も高座に上がれば立派な味のある噺家ですし、ニョキッとしたマイクの前に座ればこれまた味のあるラジオパーソナリティとなります。

ただ今日やってきた酔漢は予め存在してある役になるのではなく、役を体内に取り込み消化しきった「人間」として「ちょっくらこの場を借りるぜえ」という具合にちっちゃいハンマーでドンガラやっていたのかもしれませんね。人間が舞台を作り変えていく様は、場よりも人に焦点をあてるイチブンノイチの''らしさ''が現れていたと思います。
実験的ラジオドキュメンタリーというフレーズが語るよう、そこで溢れ出る「人間味」を記録し、お届けすることに前向きであり続けたいと思えるグッドバイブス放送だったと感じます。

そんなこんなでニブンノイチ、是非二回聞いてくださいね。きけばなにかがみえてくるかもしれないしなにもないかもしれない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?