#10とニブンノイチ 太ったおばさん

イチブンノイチを聴いてくださった皆さんありがとうございます。
ディレクターのクラカミです。

イチブンノイチseason1では、ゲストに好きなことを語ってもらい、それを一冊のエッセイとして発刊する「ヨンブンノヨン」のコーナーをメインで展開してきました。

ヨンブンノヨンがスタートしてから約半年。#1から#10まで計10冊のエッセイを発刊することができました。

ゲストの皆さんには「自分の好きなことを語ってください」という非常にざっくりした依頼をしていたのですが、人生のターニングポイントを、時系列を追ってお話してくださる方が多かったです。

自分の現在の「好きなこと」を考えてみると、きっかけになっている人や出来事があって、ちょっとしたずれがあっても現在の自分はないように思います。

「あのときあの人に会っていなかったら。。」SFものではよくバタフライエフェクトと言いますが、いま自分の人生の糧になっているようなものに出会えていなかったらと考えると、ちょっぴり怖くなるような気もしますね。

現在の自分は様々な分岐の結果であり、好きなことを語るために人生を語るというのはある種の必然なのかもしれません。


私たちはpodcastでエッセイを発刊してきました。season1終了という節目でエッセイではないのですが、私の好きな本を紹介したいと思います。

J.D.サリンジャーの「フラニーとズーイ」という本です。

簡単なあらすじとしては、グラース家の妹フラニーと兄ズーイが主人公です。フラニーは大学生で、世の中にあふれるエゴや自己顕示にうんざりして自分の殻に閉じこもってしまう。ご飯も食べず、寝込んでしまうフラニーを兄のズーイが説得するというお話。

本の半分くらいはフラニーとズーイの会話形式で進行していくのですが、会話の中でズーイがラジオに出演したときの話しをします。グラース家の兄弟は皆天才で「なんて賢い子ども」というラジオ番組に出演していました。

ズーイは収録時に長男のシーモア(ズーイは五男)から靴を磨くように言われます。ズーイは「ラジオだから靴なんて見えないだろ」と反論するのですが、シーモアは「どこかでラジオを聞いてくれている『太ったおばさん』のために靴を磨くんだ」と諭します。

イチブンノイチseason1最終回である、#10とニブンノイチ収録時、MCサイトウはジャケットを着て現れました。どこかでイチブンノイチを聴いてくれている「太ったおばさん」の姿が、サイトウの頭に浮かんでいたのかもしれません。

ちなみにシーモアはズーイに「太ったおばさんのために何か愉快なことを言うんだよ」とも言っています。イチブンノイチが「太ったおばさん」にとって愉快なものであったことを、スタッフの一員として願っています。

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