『誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?』(牧田寛、扶桑社、2021年8月18日)

『誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?』は、コロラド博士こと牧田寛による論考の書。いまはなきハーバービジネスオンラインで連載していたものを、ほぼ書き下ろしに近い感じで書き直したものである。私も同時期に同じサイトで不定期連載していたので感慨深い。

本書は、2021年8月に刊行された本で情報としてはじゃっかん古くなっているが、日本のコロナ対策の基本的な問題がわかりやすく解説されている。特に下記の2点に関しては、多少時間が経っても変わることはないだろう。

・PCR検査の原理と精度についての誤解やデマの検証
PCR検査がどのような原理に基づいており、その精度はどれくらいなのかを解説し、一般に広まっている「精度が低い」、「コストがかかる」、「技術が必要」といった誤解やデマを実証データから検証している。私自身も偽陽性が大量に発生するという説は明らかに破綻していると思っていて、どこかに論文などないかと探したことがあるので、本書で論文まで紹介してくれていて助かった。

・医学は科学ではなく、技能学術大系
医学者や医療の専門家を名乗る方々が、大量の検査をし偽陽性がその人たちのいうほど出ていない国や地域の実例が増えても「検査をすれば偽陽性が大量発生する」という確信がゆるがないのが不思議だったのだが、本書を読んで、ほとんどの(一部基礎研究を行っている方を除く)医学者は科学的検証や論理的思考のトレーニングを積んでいないということを知って、その理由を理解できた。

この他にも数字の見方や各国の状況などをていねいに追って整理しており、今でも参考になる

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