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7人の専門家が執筆中! ネット世論操作定番本の状況

何度かnoteに書いたネット世論操作定番本は無事に企画も通り、7人のそれぞれの分野の専門家に執筆を担当していただくことになりました。当初のもくろみよりもだいぶ豪華です。
チャートも更新しようと思っています。

基本の分類
例を入れてわかりやすくしたもの

研究サプライチェーンとは、研究で必要とする資金、データ、研究参加メンバー、施設、報酬などさまざまなもののサプライを指し、それによって偏った結果が生まれるリスクがあります。データは必ずしも公正中立とは限らず、特に社会に関するデータはかなり偏っています。また研究メンバーの偏りが解釈の偏りを生むことがあります。
社会全体から見た議論は影響を受けないというよりは、研究サプライチェーンも研究対象にしているため自覚的に対処できます。他の分野では自覚なしに影響を受ける可能性が高いです。

再現性の問題、再現性の危機とは2005年頃から心理学を中心に叫ばれたもので、査読を経た論文の結果が再現できないという問題です。再現率は多くの分野で50%を下回りました。その中には意図的なものも多数ありました。
さきほどの研究サプライチェーンの問題と重なりますが、これだけ大規模かつ意図的なものも含まれるということは個々人の問題ではなく、従来の科学方法論そのものの問題という指摘もあります
再現性の問題はネット世論操作にとって無視できない問題です。なぜなら多くの人が信じている科学者の出した結論の多くが科学的に検証できないからです。「正しい」という基準が失われています
社会環境全体から見た議論は、研究サプライチェーンと同じく再現性の問題も研究対象としています。しかし、このテーマはもっとも手薄と言ってよいでしょう。正確には再現性の危機に関する論文はたくさんあります。しかし、再現性の危機を社会構造的な問題として扱い、ネット世論操作や影響工作にあてはめている研究は数少ないのです。今回の定番本では、こちらも取り上げます。
研究が少ない理由はこれらの研究サプライチェーンにサプライするインセンティブが政府、民間企業いずれにもないからでしょう。本質的な問題は直接的な投資や金に結びつかないものです。


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