コロナ禍での誤・偽情報対策の効果の検証

A Systematic Review Of COVID-19 Misinformation Interventions: Lessons Learned
https://doi.org/10.1377/hlthaff.2023.00717

2020年1月1日から2023年2月24日の間に発表された50の論文を分析し、誤・偽情報対策の効果を検証した。論文は実験もしくは実験に準じるものとした。50の論文から使用されたデータを抽出し、コード化した。
もっとも多く使用された指標は5つ
・perceived accuracy of mis-information (n 1⁄4 44)
・willingness to share mis- information (n 1⁄4 36)
・willingness to share fac- tually correct information (n 1⁄4 19)
・sharing discernment (n 1⁄4 16)
・intent to vaccinate (n 1⁄4 14)

119の対策が抽出され、12に分類された。もっともよく使用されたのは下記。
・passive inoculation (22%)
・debunk (18%)
・user correction (18%)
・accuracyprompt (15%)
・warning label (8%)

この論文では、信念と正確さの判定、誤・偽情報の拡散に絞っている。
その結果、accuracyprompt 、debunk、media literacy tips、warning labelなどがコロナの誤・偽情報の拡散または誤・偽情報への信念を軽減することがわかった。
しかし、各研究のさまざまな特徴をマッピングすると証拠能力を弱めるばらつきがあることがわかった。たとえば、ワクチン接種の意図など、公衆衛生関連の尺度を組み込んだ研究はわずか18%で、対策のテスト対象となった誤・偽情報は、陰謀説 (ワクチンにはマイクロチップが含まれる)から証明されていない主張 (塩水でうがいをすると COVID‐19 を予防できる)まで、かなりの範囲に及び、ばらつきがあった。さまざまな対策の影響をより明確に識別し、証拠能力を高めるための課題は多い。

好評発売中!
『ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する』(原書房)
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。

本noteではサポートを受け付けております。よろしくお願いいたします。