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オンライン過激派が使うオフラインのDOXの脅威

DOXというネットの攻撃がリアルを侵食しはじめている。DOXは同意なしに個人情報を公開することだ。言ってしまえばただそれだけのことだが、ネットで個人情報を晒されることはリアルで危害を加えられたり、嫌がらせをされるリスクを高くする。

Violent Extremists Dox Executives, Enabling Physical Threats
https://www.recordedfuture.com/violent-extremists-dox-executives-enabling-physical-threats

多くのDOXは過激派が敵対する相手を攻撃するために行うので、その過激派のメンバーや過激派を支持している人々に対しては攻撃命令に近い意味を持つ。最近、国内の過激派がDOXを多用するようになっており、暴行、嫌がらせ、ストーカー、監視などにつながる。
今回のレポートでは、DOXの有効性を確認し、住所、メールアドレス、電話番号などはリアルの攻撃を行いやすくしていると指摘する。DOXはWEBやSNSなどを情報源として活用することが多い。
DOXのターゲットは攻撃を行うグループによって異なってくる。白人至上主義やネオナチのグループやだと、LGBTQ+、公務員、法執行機関、ジャーナリスト、敵対する過激派であることが多い。

すでに記事に書いたようにアメリカではネットの過激派はリアルでの破壊活動を行っている。DOXはその活動をさらに広げるものであることは間違いない。

アメリカ最凶の多角分散型白人至上主義グループActiveClubが示す情報戦の終焉
https://note.com/ichi_twnovel/n/nc5ab23ab9c9a

上記記事でも書いたようにデジタル影響工作は新しいフェーズに入っている。中露イランはもはや特別なことはしなくてよいのだ。

ただアメリカ国内の白人至上主義グループの発言を拡散したり、公にほめたりすればよいだけになる。これまでのデジタル影響工作対策では対抗できない、というかそもそももともとが国内の問題なので、有効な対策があまりない。

アメリカ最凶の多角分散型白人至上主義グループActiveClubが示す情報戦の終焉
https://note.com/ichi_twnovel/n/nc5ab23ab9c9a

日本でもこういう傾向はありそう。偏った過激なグループが敵対する(あくまでそのグループから見て敵対で、相手にそのつもりはないことも多い)個人に狙いをつけて個人情報やこまごました情報を晒し、リアルな危険を誘発するような書き込みを行う。他人事ではないので怖い。

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