7人の専門家が集った新しいデジタル影響工作の本

関係各分野の専門家が集った『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房、2023年3月14日)が3月に刊行される。本書は、国際政治学、サイバーセキュリティ、メディア論、計算社会学、ロシア、サイバーインテリジェンスなどの7人の専門家がそれぞれの視点でデジタル影響工作について切り込んだ本である。実は執筆者は8人で7人プラス私となっている。私自身は専門家ではないのだが、以前からあたためていたデジタル影響工作の定番本の企画なので末席を汚すことになった。
どのような本がよいのかいろいろ考えたが、結局各分野の専門家の知見を集めて紹介するのがシンプルかつわかりやすく全体像を伝えやすいと気がついた。

●本書の内容

なんといっても本書の最大の特徴は異なる分野の専門家が集っている点にある。専門家7名は以下の通りで、おそらく何人かはご存じと思う。初めてお目にかかってから20年以上の歳月が経っている方も数名いて感慨深い。

・執筆している専門家(敬称略、執筆章順)

齋藤孝道 https://twitter.com/saitolab_org https://saitolab-org.medium.com
明治大学理工学部情報科学科・教授、博士(工学)。明治大学サイバーセキュリティ研究所・所長。レンジフォース株式会社・代表取締役。

藤村厚夫 https://twitter.com/afujimura https://mediadisruption.net
IT関連メディアの経営者を歴任。スマートニュース株式会社フェロー、同社メディア研究所フェロー(兼務)。また、特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ副理事長、一般社団法人インターネットメディア協会理事。
藤代裕之 https://twitter.com/fujisiro https://gatonews.hatenablog.com
ジャーナリスト、法政大学社会学部メディア社会学科。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)代表運営委員。フェイクニュースをテーマにした研究、著書がある。
笹原和俊 https://twitter.com/soramame0518 https://www.colorlessgreen.info
計算社会科学を専門とし、フェイクニュースに関する研究、著書がある。AIにより生成されたフェイクメディアに対抗するためのCREST FakeMediaに参加している。
佐々木孝博 https://researchmap.jp/radm-takahiro-sasaki
ロシアの軍事・安全保障、情報戦、サイバーセキュリティ、インテリジェンス問題などが専門。広島大学大学院人間社会科学研究科客員教授、富士通システム統合研究所安全保障研究所主席研究員、東海大学平和戦略国際研究所客員教授、明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。
川口貴久 https://twitter.com/tkhskwg https://researchmap.jp/tkhskwg
国際政治・安全保障、リスクマネジメントが専門。東京海上ディーアール株式会社 主席研究員。デジタル影響工作に関する研究、著作があり、もっとも注目されているひとり。
岩井博樹 https://twitter.com/hiropooh https://www.sighnt.com/
脅威インテリジェンス企業として株式会社サイント代表。政府関係の組織にてセキュリティ系のアドバイザー職や専門官。日本のサイバーインテリジェンスの第一人者。

本書を企画した段階では異なる分野の専門家とはいえ、同じテーマだと内容の重複が出るだろうと予想していた。しかし、幸いにまったくの杞憂に終わった。驚くほどに異なる視点で問題にアプローチしていて、とりあげる事例や資料もじゃっかんの重複はあるもののかなり異なっていた。デジタル影響工作はそれだけ幅が広く、根が深い問題なのだとあらためて思い知らされた。
くわしい内容はまだ申しあげるわけにはいかないのだが、期待していただいてよい1冊と言える。

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『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房、2023年3月14日)

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