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誰とも結ばれていないというのは 売れ残りであり 駄目な商品なのだろうか



遅いんだよね、全部。

目に見えないものばかり欲しくなるし、目に見えるものは高くて手に入らなかったりする。
「今欲しいものはなんですか?」と誰かに聞かれたとして、あなただったらなんと答えるだろう、わたしだったらなんと答えるだろう。
幸せとかお金とか。わかりやすいものが手元にあれば、わたしはこんなにきっと考え込まずに毎日が待ち遠しい人生を歩めるだろう。
「足りない」と無闇に嘆くのではなく、自らの手で何かを掴み取る行動が必要なことも、本当はわかっていた。いや、きっとわかった気になっていただけなのだと思う。

好きなものを大人になっても追いかけられるというのは、生きる上で重要な要素だ。それなのにわたしは、五体満足という贅沢をしながら、動くことを面倒に思っている。

好きな人、好きな音楽。そんなものはきっとすぐに飽きてしまう。

この曲のイントロだけは好きとか、全部愛する必要もないと思っているわたしはどうやら思ったより残酷なことをしているのかもしれない。サビは好きじゃないから聴かないなんて、相手の気持ちもロクに考えずにわたしは人の幸せの上を歩いている不幸者だった。




虚言と絶念


正確な年齢はなんとなく隠しておく。

わたしはもう20代も折り返しに入り、きっと人生これから楽しいことがいくつも待っている年齢なのだと思う。むしろ、人よりも得ているものが多い年齢でもあり、失っているものもまだ少ない年齢でもある。

わたしには恋人がいない。

だからなんだと思っただろう。それで構わない。ただ、わたしの文章にもう少しだけ付き合ってほしい。

思い出しただけで涙が出そうなほど、わたしは元恋人のことが今でも好きで好きで堪らない。もう別れて3年が経とうとしているのにだ。
自分でもいい加減にしてほしいと思っている。
そろそろ忘れてもいいんじゃないかと我ながら思ってしまう。

それなのに今でも"好き"というシンプルな感情がわたしを包み込んでいる。元恋人とは喧嘩別れでもなんでもない。ただゆっくりと相手がわたしから離れていった、そんな感じだ。
ふたりで始めた関係なはずなのに、別れる時は一方の意思で崩れ去ってしまう。口約束とはこんなにも脆いのかと天を仰ぎたくもなる。


別れた向こうの気持ちはわからない。当然だ、相手は他人だ。ただ、別れた今でもわたしのことを好きでいてくれたのは本当は嘘だったんじゃないかと思う時がある。

あの時の笑顔も、言葉も、優しい体温も全部嘘だったんじゃないかと。終わりがきてしまったら、何も残らないのが恋愛なのだろうか。だとしたらわたしはこの人生にそっと中指を立てたくもなる。

まだ元恋人のことを好きでいることをやめられないわたしは、当然のように誰にも選ばれず、かと言ってわたし自身も誰かを選ぶことを放棄している。

わたしは恋に落ちる前に、這い上がってこれないほどの奈落に突き落とされてしまうのも時間の問題かもしれない。




装飾された過去と此れから


好きになる努力もした。

ただその努力をすればするほど、自分の純粋な"好き"がわからなくもなっていた。

好きでもない人と手を繋ぎ、好きでもない人と抱き合い、キスをし、セックスをしてきた。最低だ。それを好きになる努力をしていたと言うのであれば、物は言いようだなとも思う。

このままわたしは自分でもきっと驚くほどの速度で歳を取り、他人の幸せの波に潰されてしまうのだろう。そんなわたしは売れ残りであり、駄目な商品なのだろうか。

「そんなことないよ」と言われたいのか、「そうだね」と言われたいのか。自分でもわかっているようでわかっていない。

人にはそれぞれ魅力があって、その魅力にお互い惹かれ合い結ばれるのだろう。もしもわたし自身が自分の魅力に気づいているのであれば、これほどに恋人がいなかったとしても、俯くことはなかったはずだ。

自分の魅力がわからないからこそ、誰かに選ばれたかったりする。選ばれることによって、自分の価値があると認識したかったのだ。けれど、それだけが目的なのであれば、きっとわたしは恋愛を今するべきではない。私利私欲のためにする行為は、結局身を滅ぼすことを少なからずわたしは理解している。


それでも恋愛がしたいし、誰かと身を寄せ合いたい。
ひとりで生きていく力をつける前に、誰かに頼ろうとしている自分が情けないとは思う。

「目に見えないあなたがほしい」

そう唱えながらわたしはのうのうと生きている。

恋愛は運命だと未だに思っているわたしは、これからもお花畑の中で生き続ける。それでもいい。この人しかいないと思えるほどの恋がいつ来てもいいように、わたしは息をし続ける。そのためにわたしは元恋人を無理に忘れようとは思わない。

20代の折り返しには入っているわたしも、まだ人生の折り返しに入ったわけではない。だったら別に、魅力を探す時間はまだあるだろう。いつか誰かと結ばれるとしたら、わたしは相手の言葉に恋をしたい。そうしてわたしの拙い言葉にも恋をしてほしい。

くだらないよね。もう少しだけ付き合ってほしいと言ってからここまで何文字わたしは言葉を並べただろうか。そういうところだね。

最後までありがとう。


書き続ける勇気になっています。