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電話占いの思い出と、占いの使い方

数年前まで、占いは全く信じないタイプだった。朝のテレビ番組でやってるような星座占いは特にそうで、「人の運勢が12種類に分けられるわけないじゃん!」という気持ちでいた。今もすごく熱心に信じているかといえばそうでもないけれど、フリーランスになることを決めた頃から、占いに対する気持ちが少し変わった。

3年前ほど前、会社を辞めるかどうか悩んでいたときに、「占いを信じてもいいかもしれない」と思えた出来事があった。

その頃のわたしは「仕事」として、電話占いに関する文章を書いていた。

具体的には、電話占いのサイトにアクセスして、クチコミを見つつ自分の勘を頼りに、占い師の先生を選ぶ。その先生に電話をかけて、恋愛分野で占ってほしいことを占ってもらう。その内容がどう当たっていたかを記事に書く。そういう仕事だった。恋愛系のwebメディアに掲載される文章ということもあり、占ってもらう内容は主に恋愛分野と決まっていた。

とある電話占いのサイトで、ある男性の占い師さんに「今付き合っている彼と、このままうまくいきますか?」というような相談したことがあった。タロット占いをしてもらって回答を聞く。占い結果は、そこそこ当たっていた。

たとえば「価値観は異なるタイプだけど、それを楽しめるならうまくいくと思います」とか、他にもいろいろ。どれもそんなに外れてない気がして、なんとなく納得できた。

でも、わたしが何より驚いたのはその占い結果じゃなくて、その人が電話口で「あと、これから変化を示す結果が出てるんですけど(この辺りはうろ覚え)、転職とか考えてますか?」と続けたことだった。

恋愛相談したはずが、会社を辞めたいと思ってたことを言い当てられたようで、驚いた。思わず「今後どうしたらいいですか?」と聞いたら、「2月に何かチャンスがあるので、それまでの数ヶ月を準備期間だと思って取り組んでください」と返ってきた。

その電話占いをしたのは、2018年の秋頃のこと。あれよあれよと年を跨いで、1月にはフリーランスになった。結局その「2月のチャンス」とやらが何のことかはわからなかったけど、その少し前くらいからほぼ日の塾に行ったから、そのことだったのかもしれない。


会社員からフリーランスになってからは、自分はどうなりたくてどうしたらいいのか、何を指針にすればいいのか、モヤモヤすることが増えた。そんなときに思い浮かんだのは、その占いでフリーランスへの転向を後押ししてもらった感覚だった。未来を知りたい気持ちも少なからずあるけれど、それ以上にいまの自分でいいんだ!とか、この方向で間違ってないんだ!と背中を押してもらいたかった。

そんなこともあって、実は去年の秋頃、つまりは例の電話占いから3年くらい経ってから、同じ電話占いの人に電話をかけてみた。仕事関係なく、プライベートでの電話占いは人生初。あの人ならきっとまた何か言い当ててくれるんじゃないかとワクワクしてかけた。……が、その期待は裏切られた。

占い結果は腑に落ちないことばっかりで、「なかの人変わりましたか?」ってくらい違う印象だった。たとえば、今後住む場所について相談してみると「関西にいい印象がないでしょう?」「いやむしろ関西好きだけどなあ」という感じ。軽い気持ちだったとはいえ、それにかかった4000円くらいがただの無駄遣いになって、心底落胆した。(ちなみに電話の時間を短くすればもっと安く済むけど、わたしが上手く電話切れないせいでそのくらいの値段になった。)

それからは、電話占いとか対面占いとか、お金をかける占いは全くしてない。かといって、占いを信じなくなったとか嫌いになったわけでもない。ときに占いがすごい効果を発揮してくれることを、いまのわたしはよく知っている。

実際、この前テレビ番組で「1月11日は天赦日と一粒万倍日が重なる最強開運日!」と言ってるのを見たわたしは、いつも以上に「がんばってみよう」の精神でその日を過ごせたのだった。単純で、軽薄な信仰心ゆえになせる技。

十二星座占いも同じようなもので、最近はいいことが書いてあれば「今日はこんな風に過ごそう」とか「今月はこれに挑戦してみよう」と思える自分がいる。

背中を押してもらいたいとき、前向きに物事に取り組みたいとき、なぜだかうまくいかない理由が欲しいとき。そんなときに欲しい言葉をくれるのであれば、お金をかけようともかけずとも、そんなの気休めだと言われようとも、占いは最高で最強のツールだ。

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