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夢とかやりたいことへの向き合い方が変わってきた
「40代になると、自分にできることとできないことがわかっていい意味で諦められるし、ラクになるよ」
そんな言葉を、数年前に渋谷の居酒屋さんで聞いた。わたしもいつか、今抱えている「こうなりたい」「これを叶えたい」を手放して諦められる日がくるんだろうか。“いい意味で諦められる日が来る”なんて想像もできなかったし、まだまだしたくないなあと思った。
その頃のわたしはまだ会社員で、「ライターの仕事がしたい」「取材記事を書きたい」「カルチャーとかエンタメにまつわる取材がしたい」「せめて自分が心から“いい”と思えるコンテンツを届けたい」と、やりたいことばかりだった。まだ仕事としての取材執筆をしていないからこそ、叶えたい夢が溢れてくる。自分はもっとできる、あれこれもできると信じていた。
それから数年経って、現在のわたしはフリーランス4年目。いまも「もっとできるようになりたい」という気持ちは変わらないけれど、最近は「叶えたい夢」を掲げることをあまりしなくなった感じがある。
とはいえ夢を見なくなっただけで、やりたいことがない訳じゃない。
「これからやりたいこと」を尋ねられたら、
「雑誌、本などの紙媒体で記事を書きたい」
「自分が好きなカルチャー・エンタメにまつわるコンテンツに携わりたい」
「親が依存症でいろいろ悩んだから、家族やマイノリティ、福祉にまつわるコンテンツに携わりたい」
と本心から答えている。
ただ、そんな夢に対する向き合い方は、以前と比べて変わってきた。
数年前までは、やりたいことを「絶対叶えるぞ!!」の気持ちでがむしゃらにやっていた。でも、最近はもう少し穏やかだ。夢に対して、昔は強火でメラメラだとしたら、いまは静かなトロ火でユラユラくらい。「これを叶えたい!」というよりも「いまの自分が求められることを一生懸命やろう」の気持ちでいる。
その気持ちを支えているのは、人にはそれぞれの役割があるという感覚。あの人にはあの人の役割、自分には自分の役割がある。
情熱を注いで成し遂げられた仕事や、好きじゃなくても「得意」で誰かのために打ち込む仕事。自分の役割を全うするように仕事と向き合う人を目の当たりにして、そう思うようになった。
そして役割というのは、ときに縁とか運とかタイミングが運んでくれるような気がしている。ときに自分の役割がわからなくて迷走したり、求められている役割がしっくりこないと感じるときもあるけれど、いつかタイミングがくるまでは、いまできることを頑張ろうの気持ち。
萩本欽一がほぼ日の糸井重里さんとの対談企画で「したくない仕事しか来ないんです。でも、運は、そこにしかない。」と言っていた。この言葉が、わたしはとてもすきだ。
人間、数年もあれば変わるものだなあと思う。逆に、数年後はまた夢に一歩近づいたり新しい夢が見つかってメラメラしてるかもしれない。それこそ40代になったら、あのひとが言ってたことに共感できるかも。
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