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心を動かすのに必要な、空白の時間

ここ数日、ほぼ毎日noteを書いている。noteにはふと思ったことや発見したこと、いまの自分なりに考えたことを書いていきたいと思っているから、最近は日常生活のふとした感情の揺らぎに目を向けて生活するようになった。ただ、感情が動く瞬間というのは、日常生活でそんなに多くない。

心が動くのは、非日常だったり予想外だったりな場面であることが多いように思う。たとえば、初めて何かをみたりきいたり、やってみたとき。自分にはなかった思想に触れたとき。忘れてた感情に出会ったとき。

とはいえ、一人暮らしで予定がなければ誰にも会わないわたしの日常に、ドラマチックな出来事はなかなか起きない。朝起きてご飯を食べる、仕事をする、家事をする。ときにダラダラする。そんないつも通りの日常に心を動かすのは、なかなかむずかしい。かといって、毎日のように非日常的な予定を入れるわけにもいかない。どうしたら、日常生活で心を動かせるんだろう。

そう考えて思い出すのは、大学4年生のときに半年近く過ごした、デンマークでの日々。当時、フォルケホイスコーレという成人教育機関に留学していたわたしは、めちゃくちゃ暇な毎日を過ごしていた。授業らしきものは平日2〜3コマしかなくて、土日はお休み。大学生は人生の夏休みだと聞いたことがあるけれど、まさにそんな感じだった。仕事、バイト、勉強、そういったものに追われない暇すぎる毎日。暇すぎて、ずっと友達とのネパール人と喋ったり、学校の近くの田舎道を散歩したりして過ごしていた。日記も毎日のように書いていた。

デンマークでの予定のない“空白”の時間は、自分の考えや暮らしとじっくり向き合う機会をもたらしてくれた。同時に、日々の生活にも、小さな幸せがあることを教えてくれた。11月の寒い日、友達がいれてくれたチャイティーがすごくおいしかった。たったそれだけのことでも、こんな幸せもあるんだなと思えた日のことを、わたしは今も覚えている。

忙しい毎日を送っていると、考える時間も心を動かす余裕もなくなってしまう。いまの自分に必要なのは、何も考えずに散歩したり、おいしいお茶をいれてみたり、そういう空白の時間なのだと思う。

今日、舞台「サザエさん」を観に行ったら、終演後の挨拶でサザエさん役を演じている藤原紀香さんが、同舞台の演出の方に「小さいことにもいっぱい心を動かして表現すること」を言われたと話していた。その言葉に、日々の生活でいっぱい心を動かそうという気持ちを思い出させてもらったのだった。

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