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私の駄目さは叙述トリックにもなりやしないという話

中学生の頃の帰り道、足元に目を遣ったら片方の羽がもげた蝶が残った羽を必死に動かしていた。

見たことがない光景だったので、しゃがんでしばらく様子を観察した。
絶え間ない。休みない。再び空を飛べることを願って羽を動かし続けている。

その様子に酷く感銘し、私も人生に対してそうでありたいと思った。


というのは嘘で、ぼんやりと「きっとこういうものを見たのがきっかけで人生が変わる人もいるのだろう」と他人事のように思っただけである。
私はその蝶にこれからの自身を重ねることができなかった。

ただただ、その無気力な結論に少しの自己嫌悪を感じた出来事として覚えていただけだ。

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