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神奈川県立希望ヶ丘高校「Scuolaセミナー」

2024年6月26日に、神奈川県立希望ヶ丘高校の生徒さんをICEHAPの研究室にお招きし、「Scuolaセミナー」を開催しました!

およそ15名の生徒さんと4名の教員の方が参加してくれました。朝から事故のために総武線が止まってしまい、参加者の皆さん(と研究室関係者も)が千葉大にたどり着けないのでは💦と心配しましたが、予定より10分だけ遅れて開催できました。ご挨拶したあと、まずは清水信宏助教と岩切渉助教が、アイスキューブ実験やマルチ天文学について紹介しました。南極で稼働中のアイスキューブの光検出器DOMと、本研究室で開発・製造したD-Egg、そして現在清水助教が開発中の次世代検出器もお披露目しました。

ニュートリノ研究について紹介する清水助教
マルチメッセンジャー天文学を紹介する岩切助教


研究室所属の大学院生らが、自分たちが使っている実験室や学生部屋などに案内し、普段研究室でどのように研究を行っているか紹介しました。また、D-Eggの稼働試験のために南極点の氷点下の環境を作りだす研究室備え付けの大型冷凍庫について、コルトン特任研究員が説明しました。

大学院生による研究室ツアー


コルトン特任研究員の説明を聞く高校生たち

キャンパス内の食堂でお昼休憩をした後、理学部棟にあるサイエンスプロムナードへご案内しました。ここでは千葉大学理学部の各学科で行われている研究の展示を見ることができます。ボランティアの大学生3名が各展示について説明してくれました。

サイエスプロムナードでの見学の様子
熱心に展示を見入る高校生たち

午後は、理学部の教室に場所を移し、霧箱実験を行いました。2名ずつに分かれ、霧箱の組み立てから挑戦してもらいました。まずは、清水助教が霧箱の仕組みについてミニ講義を。
(霧箱実験に興味がある方は、「霧箱の作り方とその材料について」をぜひご覧ください。)


霧箱実験について説明する清水助教


霧箱を組み立て中

中に敷いたドライアイスで霧箱がほどよく冷えるまで少し時間がかかるので、その間に研究室の教員らによるミニトークを行いました。
センター長の吉田滋教授から”元不良中学生から物理学者に”というちょっと変わったトークを披露。「勉強しなくても、科学者になれるよ!」っていう話かと思ったら、学校の勉強のどのあたりが、実際の実験や研究、そしてそのための予算繰りなどに役立つか、そしてその他に必要なスキルなどを紹介し、科学者志望者は必見!な内容でした。

吉田センター長の”殴り込み”トーク

Anna助教は、自分が南極点のアイスキューブ実験に出向したときの話をしました。南極に行くのにどんな準備が必要だったか、極寒の環境での生活の様子、そしてもちろん研究の話など、興味深い話がたくさん出てきました。英語での講義でしたが、たくさんの質問の手が上がりました。みんな南極での生活って気になりますよね!

毎回好評のAnna助教の「南極点」トーク

そして、霧箱実験に戻ります。そろそろ自然界に存在する放射線などが見えてきました。霧箱の中を覗くと白い筋のような軌跡が見えます。まっすぐなものやヒョロヒョロしたものもあり、これらは空気中に存在する荷電粒子や放射線が通過した跡だそうです。目に見えないこれらの粒子が、霧箱のおかげで可視化され、見えるようになります。自分たちで組み立てた霧箱の中の様子を熱心にのぞき込んだり、動画を撮ったりする生徒さんの姿が見られました。

粒子線や放射線が見えるかな?
熱心にのぞき込む生徒さんたち
どの粒子が見えているかな?清水助教のスライドと見比べて


各々にしばらく観測した後、研究室の学生らが小さな注射器を持って登場。中にはガスランタンのマントル(ラドン)が詰まっています。霧箱を覆っているサランラップをセロハンテープで補強して、注射器内の空気をタッパーに注入します。するとアルファ線の崩壊が起こり、しばらく霧箱内のお祭り状態が楽しめます。

アルファ線崩壊の観測

実験終了後に、セミナーはお開きとなりました。朝から交通が止まるハプニングがあったにもかかわらず、千葉大に来てくれた生徒さんと先生方。最初は少し緊張気味だった時もありましたが、セミナーが終了するころには和やかな雰囲気の中、笑い声も聞こえていました。
私たち、教員、スタッフ、学生も、とても楽しい1日を過ごしました。
またぜひ、遊びに来てほしいです!
神奈川県立希望ヶ丘高校のみなさん、お疲れ様でした♪

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