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“戦う女”パラスの話

小惑星パラスは、火星と木星の間を周回する小惑星の一つだ。パラス、というとあまり耳馴染みのない人が多いだろうけれど、パラスアテナ、もしくはアテナという名の女神なら、知っている人はけっこういると思う。ギリシア神話に出てくるゼウスの娘で、知恵と戦争と工芸の女神である。ちなみにフクロウはアテナの鳥なのだそうだ。占星術上で小惑星パラスを考えるときは、このアテナ女神のイメージで捉えてみるのがいいだろう。

占星術の上で戦いといえばまず火星、知恵と工芸なら水星だろう。パラスはこの二つを併せ持ったような感じの小惑星である。更に、人が誰しも持つ男性性と女性性のバランスを意味していることもある。なかなか多面的な性格の星なのだけれど、この複雑なパラスの力が発揮される場面は、守るべきものを持っているときだ。パラスアテナは都市の守護神という、ちょっと土星っぽい側面まで存在しているのだ。自分からどこかへ攻め込むのではなく、守る為の力が必要なとき、その人のパラスが目を覚ますことがある。パラスと、火星その他の“戦い”を意味する星たちとの最も大きな差異は、この防衛という性質だろう。

占星術上で小惑星パラスが意味する戦争とは、防衛手段としての戦争であろうと私は思う。パラスアテナは知恵の女神でもある以上、小惑星パラスの力は、単純な殴り合いの場面では発揮されない部分が多い。その分、現代社会の“闘争”における出番はなかなか多いのではなかろうか。

自分の足元、家族や仲間の立場を守らねばならないときに、火星が行きすぎると結果としてただの破壊や力の誇示にしかならなかったり、試合に勝って勝負に負けたり、なんてことがある。人によって傾向が違うので一概には言えないが、防衛戦なら火星より先にパラスをアテにするのも一案だ。

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