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交通、情報、言葉、コミュニケーション。水星のお話

水星とは。

太陽に最も近いところを回る、太陽系最小の惑星である。以前太陽系最小だった冥王星が準惑星になったため、現在の太陽系最小は水星ということになるらしい。太陽に近く大気も海もない星で、その地表は灼熱と極寒を行き来しているとのことである。そして太陽光の当たらない極の部分には、氷が存在しているのだという。公転周期はほぼ88日くらいで、他の星の公転周期と比べるとやっぱり速い星なのだなーと思う反面、自転周期の方は58日と結構長い。

地球からみると、“いつも太陽の周りをうろうろしている速い星”という感じだろうか。占星術のチャートを読んでいてもその特徴は明らかで、水星はいつも太陽と同じサイン、または太陽の隣のサインにいる。トランジット上では、動きは速いのだけれど、頻繁に逆行を繰り返すお陰で太陽から一定以上離れない、という印象だろうか。

その水星が占星術上で何を示すかといえば、神経・言葉・思考・コミュニケーション・交通・情報あたりだろうか。何で水星がこのへん担当になったかは、地球上からの見え方を考えるとちょっと分かる気がする。天で最も強く輝く太陽の周りを、俊足で走り回っている星なのだ。太陽の意思を周囲に伝えたり、周囲からの情報を太陽に届けたり、またはうろうろふらふらしたり、獲物を掠めとって己の巣に持ち帰ったりしているようにも見える。担当する神様がメルクリウス(マーキュリーとも。頭が良くて足が早くて手先が器用、商売と盗賊の神)だというのも頷ける話である。

現代において、この水星が示す物事の役割はどんどん増えている。一番大きいのは各種メディアの発達だろうか。文字、手紙、本、看板、チラシ、新聞、ラジオ、テレビ、PC、インターネット、スマートフォン、そのあたり全部まずは水星の担当だ。メルクリウス様が過労でぶっ倒れそうな状況だよなとか思ったりもするのだけれど、この流れはどうも変えられないようだ。風の時代でもあることだし。……というご時世なので、今の文化の中で水星の示す物事として真っ先に挙げられるのは、情報とコミュニケーションだ。

だから占星術の本を見て、水星って交通と商売も担当なの?となる人は結構いるかもしれない。これは多分、星の都合というより人の願いが反映された結果だろうと思う。その昔、まだ自動車や飛行機などなく、庶民が手紙を出すのも一苦労だった頃、情報の行き来はほとんどイコールで人の行き来だったのだ(例外は伝書鳩くらいであろうか)。情報と交通が隣り合わせだった時代は、非常に長い。

そして商売も、交通と隣り合わせになっている物事である。現代の人間からすると、こちらの方がまだ想像しやすいかもしれない。自分たちの土地ではありふれたものを別の土地に持っていき、自分たちの土地では手に入らないものと交換する、というのが商売の原型である。このときの『やりとり』に関わること全般が、水星の担当だ。まずは足と言葉と数字、その価値を計って契約を交わし、価値あるものを自分たちのところへ持って帰るまでが商売である……とまとめて考えてみると、水星の担当範囲は大体見えてくるのではないだろうか。

そういう訳で、現代において、水星はとっても大事なのである。

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