【読書メモ】深呼吸の必要
12月。師走。
日々のやることに追われ、ゆっくり呼吸をすることも忘れて駆け抜ける日々。
長田弘さんの詩集『深呼吸の必要』。
いつおとなになったんだろう?
と考える詩や、日常に溢れていた風景にあった豊かさの詩から思い出されるのは
子ども時代にはあった美しい世界。
ただ歩くことが楽しくてしかたなかった日々
何もない原っぱに自由があった日々。
いつからか無意味を嫌い、無駄を嫌うようになっていた。
いつからか
大人も、不完全なところを抱える人間であることを知り、
心の痛みというものを知った。
ただ歩くことを楽しむことが難しくなっていた。
簡単なことほど、難しいことになっていた。
いつのまにか大人になっていた。
普段、ダメだと思ってしまう
“何もない”場所や時間、行動が
どれだけ美しいものだったか。
でもいつだって思い出せるはずだ。
息子は今そんな景色を見ているのだろうか。
ただ歩くことや走ることが楽しい。
何もない原っぱが楽しい。
なによりも難しいことは遊びを終わらせること。
そんな世界を生きている。
大人のペースで動かそうとせず、きみのキラキラな時間を大切にするね。
余白、無意味、無駄なこと。楽しむことを忘れてしまったささくれだった心にそっと、
深呼吸をさせてくれる優しい本。
#深呼吸の必要 #長田弘
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?