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BAKENEKO DIARY

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飼い猫が交通事故で瀕死の重傷に。安楽死させるべきか、回復を目指して治療するべきか。治療を選択してからも、食道チューブでの給餌、傷の消毒、エサの選び方等、難題に直面する日々。危機を…
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#猫リハビリ

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー 1日目

BAKENEKO DIARY /DAY 1. 事故発生  娘のSを塾に送って、帰ってきた。月曜日の夜7時頃。もうすぐそこが家という交差点を左に曲がると、前の車が減速した。その前に、白の軽自動車が1台停まっている。しかし先には、遠くの方にヤマト運輸のトラックが停車しているだけで、なぜそこで軽が立ち往生しているのかわからない。 軽の運転手さんが降りてきて、前の車の人に話しだした。身振りから、何かをよけたいから、もう少しバックしてくれと言っているようだ。この時はまだ想像していなか

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  24日目

BAKENEKO DIARY /DAY 24. ミータが笑った  口から食べ出すと、ミータの顔つきが変わった。シリンジ給餌をしていた間は、身体は回復してきても、どこか”生き物“感が乏しく、存在感がぼんやりしていた。もちろん体調が万全でないという理由もあっただろうが、事故前に100あった感情の幅が、60くらいに狭まってしまっているような感じ。目の奥の力が弱かったのだ。私と娘のSは、身体に障害が残って気持ちを表現できないのではなく、感性そのものにも後遺症が残り、ミータであってミー

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  25日目

BAKENEKO DIARY /DAY 25. ロンの“膝ハグ”  事故に遭って以来、初めてひとり(一匹)で、ほぼ一日、留守番をしたミータ。結果から言うと、難なくクリア! と言っても、野良猫出身で決して人にベタベタしない猫なので、ひとりが嫌なわけはないのだが。食道チューブを付けていると、チューブがどこかに引っかかったりしないか、お腹が空いても食べられないし、など心配事が多く長時間の外出はためらっていた。やはりチューブを外してご飯を自分で食べてくれると、世話をする人間の開放感も

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  23日目

BAKENEKO DIARY /DAY 23. 跳んだ! 走った!  昨日、3週間近く装着していた食道チューブを外したミータ。分泌液が浸みているので、病院で付けてもらった包帯をはずし、指示された通りやわらかいハンカチに取り替えた。傷口を見ると、まだ見た目は痛々しいが、早くもくっつきはじめている。    チューブが外れると途端に飲み込みやすくなったのか、ミータの食事量は一気に増した。ウェットフードとドライフードを置いておくと、ウェットから食べ始めるが、ドライフードも少し食べられ

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  22日目

BAKENEKO DIARY /DAY 22. 食道チューブを外す!  予定通りの診察日。ミータがシリンジ給餌を拒絶するような態度を見せたり、リード散歩が難しくなってきたりしたので、食道チューブを抜いてもらおうと決意して病院に向かった。A先生が目標と言われた「以前の半分の量」は食べられていないが、これからがんばればいいのだ!  名前を呼ばれて診察室に入ると、先生ではなく看護師さんがふたりいた。ミータを移動用バッグから出し、診察台に乗せるとすぐに看護師さんが言う。 「今日は

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  21日目

BAKENEKO DIARY /DAY 21. もうリードは嫌だ  朝、ミータはシリンジでチューブから注入したミルクを吐いてしまった。シリンジ給餌を拒絶しているようにも思える。退院したときはまっすぐ歩くこともできなかったのが、数日でゆっくり歩けるようになり、今ではトコトコと早足もできようになった。回復が実感できてうれしいのだが、厄介なのが食道チューブ。60センチほどあるチューブをくるくる巻いてテープでまとめ、筒状の簡易服の背中側にしまえるようになっているが、服が伸びてきている

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  20日目

BAKENEKO DIARY /DAY 20. シリンジ給餌はもう限界?  交通事故にあい、口からエサを食べられなくなったミータ。首の下辺りを切開して食道チューブを挿入し、シリンジで高カロリーミルクを注入するようになってから2週間ほどたつ。シリンジなんてろくに触ったこともなかったので最初はこわごわ。ミルクを注入するときに空気が入ってしまったり、チューブからシリンジが外れて背中にミルクがこぼれたりと、失敗しながらコツをつかんできた。  途中、どうしてもミルクが入らなくなったと

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  19日目

BAKENEKO DIARY /DAY 19. 猫の記憶力  散歩をはじめて数日経ち、ミータは外に出るときには「リードを付ける」ことを覚えた。外に出たいときは洗濯干し場に行き、リードを装着してもらえるのを待つ。まず頭を通すと、右足はすぐに自分で適正な場所に入れられるが、麻痺の残っている左足はできない。なので、私がそっと左足を持ち上げて左足用の場所に入れるが、痛みがあるのか「ニャア」と小さく鳴く。リードを付けるのは、”嫌々“という感じで少しかわいそう。  元気が出てきたからか、

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  17日目

BAKENEKO DIARY /DAY 17. 猫時間を一緒に過ごす  外に出るようになって、ミータはすぐに室内の猫トイレを使うのをやめた。土の方が弱った脚でも踏ん張れる。朝や午後遅くに起きてくるとすぐに猫ドアの前で待つようになったので、できるだけ外に出してやることにした。  リードを付けて猫を散歩。こんな田舎で、野良猫出身のミータを。まさかこんな日がくるなんてな~と思う。天気はいいし、12月にしてはそこまで寒くない。でも実際は、散歩と言ってもミータにほぼ動きはない。ウッドデ

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  16日目

BAKENEKO DIARY /DAY 16. ミータは“いい猫”  消毒のために病院へ。チューブの挿入部分が赤くなっているとA 先生が言う。 「かゆいみたいなので、薬を変えますね。あとどうですか、食べてますか?」 「はい。少し、食べ始めました。」 「量は、前の半分くらいいけてます?」 「いえ、それはぜんぜん。」 「体重もまた少し減っているのでね、チューブからの栄養補給はもうしばらく続けましょう。」 A 先生が診察室から出て行かれ、看護師さんが包帯をまき直してくれる。ミー

ー安楽死を宣告された猫との35日間ー  15日目

BAKENEKO DIARY /DAY 15. 外に出る!  ミータは、ちゅーるなら一度に一本、時には1本半くらい飲み込めるようになった。一本は14g、7kcal。カロリー低い… 何本もあげたくなるが、動物病院のA先生から「おやつ系のフードは、まず総合栄養食のフードをあげてから、どうしても無理な場合に」と言われている。観察してみると、ミータはドライフードを噛んだり、飲み込んだりができないようだ。口に入れて数回、咀嚼のようなことをするが、フードがすぐに口からぽろりと落ちてしまう