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古きと新しきが交わる町、小高。現地に住むふくたろうさんに町の魅力を教わりました。

 福島県東端部の南相馬市内に位置し、相馬野馬追(そうまのうまおい)で知られた町。福島県第一原発事故の影響で、住民が一時「ゼロ」になりましたが、今若い世代が続々と移住しているといいます。今回、遊ぶ広報(※1)のプログラムを利用して、現地で活動しているふくたろうさんに小高(おだか)についてお話を聞きながら、実際に町を案内して頂きました。

※1「遊ぶ広報」は、暮らすようにまちに滞在しながら、心が動いた瞬間をSNSに発信すると滞在費が補助されるプログラムです。滞在中に感じたまちの魅力を発信することが条件。1泊2日から最大5泊6日までが補助の対象になり、滞在中に地元の方がガイドをするアテンドツアーに参加します。
※今年度の募集は終了し、次年度実施未定。

[ふくたろうさんのプロフィール]
埼玉県浦和出身。1997年生まれ。株式会社小高ワーカーズベースに在籍。学生時代、多拠点生活を体験し、仲間と繋がることで得られる面白さにやみつきになる。ある時、東京よりも地方がより面白いのではないかと思い、人の繋がりで今の会社に入社。社長の右腕を担う仕事やコミュニティーマネージャーなどに従事。POOLOのコミュニティーマネージャーも経験。遊ぶ広報の現地ガイドを担当。コーヒーにはこだわりあり。

小高(おだか)とは

 福島県の東端部にあり東に海、西に山々がある総面積91.95平方キロメートルの町。旧小高町から2006年の南相馬市の発足により小高区となりました。2011年、福島県第一原発事故の影響で避難指示などがあり住民が一時ゼロになりましたが、2016年に避難指示が解除され、少しずつ住民が戻りつつあります。また、史跡として日本三大磨崖仏(まがいぶつ)である大悲山の石仏や約5500年~約4000年前に形成された浦尻貝塚があります。

現地でのインタビュー:ふくたろうさん

 ふくたろうさんに小高についてお話を聞きました。古きと新しきが交わるところがとても面白いと語ります。

今回ガイドをして頂いたふくたろうさん

――小高の魅力を教えてください。
「一つは自然や歴史があるところと町の文化が両立しているところだと思います。」

「自然だと村上海岸がよくて、特に干潮になった時に遠浅な砂浜なのでウユニ塩湖みたいな写真が撮れます。東北のウユニ塩湖と呼んでいる方もいらっしゃいますね。歴史でいうと相馬家の血筋が今でも引き継がれているので、ゆかりのお寺は見応えがあります。また、浦尻貝塚で縄文人が生活した史跡が見られます。」

「一方でユニークなお酒を造る酒蔵があったり、馬と気軽に触れ合える場所を営む会社があったり、そういうエッジの効いた人達がどんどん集まってくるような環境やコミュニティがあって、その両方が面白いですね。」

――小高に住んでいる方の良さはありますか?
「人の良さでいうとまた面白いところがあります。」

「ゆったりとしたスローライフを送っているおじいちゃんやおばあちゃんが住んでいて、とても温かいなって感じることがあります。その一方で何かまだやったことないこと、想像もしなかった未来に向けてワクワクしながら自分らで何かを作るエネルギッシュな人も住んでいて、元気をもらいますね。古きと新しきが混ざり、こういう人の良さもあると思います。」

「どんどんいろんな人がやってきて、何かを生み出していくスピード感が普通の地方よりも圧倒的に早いと思いますね。小高に集まってくるからこそ、気軽にコラボレーションや派生して始まることも日常でよくあることなんです。それがこの地の面白いところで。僕は結構飽き性な人間なんですけど、小高で飽きずに活動しているというのが一つの証拠かなと。」

「スローなところと刺激があるところがちょうど両在しているのがこのエリアの面白いところかなと思います。」

――小高にはどんな方が集まっていますか?
「新型コロナウイルスの流行をキッカケにして、いろんな地域に興味関心を抱き地方創生に携わりたい学生さんが増えています。なので、どんどん若い人が増えていますね。」

「僕らの会社も大学生を受け入れる地域留学プログラムや、インターン生を招きいれて課題や仕事を取り組んでいます。小高の課題についてキラーボールを投げて、それを解決しようと必死に打ち返して成長したい子がきていますね。10代後半や20代前半の子達が集まり、関わり始めています。」

ガイドして頂いたスポットを一部紹介します!

1,お馬さんが生活している厩舎

個性的な馬がお出迎え

 まず、最初に訪れたのは厩舎です。一般社団法人Horse Valueさんがお世話している馬がここで生活しています。個性豊かなお馬さんがおり、とても癒されるスポットです。Horse Valueさんは「馬が誰かの課題を解決することで新しい価値を見出す。」を目的に活動されております。小高うまさんぽや海トレッキングなど乗馬の体験が出来ます。

2,小高パイオニアヴィレッジ(OPV)

ひな壇構造の作業スペース

 宿泊できるコワーキングスペースで、小高で活動する起業家の方々などがここを使っています。毎日いろんなジャンルの方が訪れ、新しいものやことが生まれています。また、ガラス工房も併設しており、ガラス細工職人さんがひとつひとつ丁寧に作っています。購入することも可能です。私が訪れた時は小高で革靴職人である安藤さんに偶然出会い、お話しできました。ふらっと寄れて気さくに話せるアットホームな場所です。

職人さんが作業するガラス工房

3,haccoba 小高醸造所

外壁の塗装は仲間と一緒に塗ったそうです

 haccobaさんは「クラフトサケ」という日本酒の製造技術をベースとしながらも、新しい工程を取り入れた新ジャンルの酒に挑戦されています。小高にある醸造所は一軒家にあり、飲むスペースも併設されています。この醸造所の他に浪江市内にもあります。また、2024年2月9日に小高駅の駅舎を活用した日本発の無人駅での醸造所を開業しました。醸造自体はこれから行うとのことですが、物販や交流スペースもあり、小高の魅力ある場所が一つ増えました。

取材を終えて

 小高で出会った方々はエネルギッシュで「やってやるぞ」という思いが満ち溢れており、その姿に元気が出ます。また、人との繋がりが密接にあり、一緒に町を盛り上げる力は人一倍大きく感じました。古きと新しきが交わる町、小高。是非、現地の方々に触れてみてはいかがでしょうか。

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