Ibuki Ozawa
新型コロナウイルスに関してのこころとからだのケアvol1~家庭や子どもの居場所などでできるケア~
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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新型コロナウイルスに関してのこころとからだのケアvol1~家庭や子どもの居場所などでできるケア~

Ibuki Ozawa

新型コロナウイルスの影響を受け、社会の状況が日々変わり、情報が溢れ、「1週間後にどうなるのかわからない」「予定が突然変更になる」という中、これまでの日常と違う対応を余儀なくされることも多いかと思います。もしかしたらご家族やご自身が体調を崩されてとても不安がある、という方もいらっしゃるかもしれません。

子どもたちも、学校が休みになるかもしれない、卒業式等の様々なイベントがなくなる、いつもとは違う場所で過ごす、といったこれまでの日常とは違う日々に不安になったり、喪失感を感じたりすることがあります。

このような状況での不安が生まれたり、いつもとは違う心の状態になるのは、誰にとってもとても自然なことです。一方で、不安や緊張している状態が続くと、時に身体や心に負担がかかることがあります。ただ、その負担をケアする方法もあります。

今回は子どもと子どもに関わる方にとっての、日々の中でできるケアの一助になることを願い、「これまでの日常とは違う日々の中で、ご家庭や居場所などでできるケア」についてお伝えします。


家庭や居場所での子どもの心のケア

1、子どもはどんな時に不安になるの?

・見通しがつかない 
・ルーティンでやっていたことが日々変更になる
・突然イベントがなくなる
・いつもいっていた場所にいけなくなる
・家族の誰かが新型コロナウイルスにかかった
・仲の良い友達が学校をお休みした         
など(今回は新型コロナウイルスの影響においてを念頭に記載していますが、一般的に不安を感じる時は、ここに書いているものだけではありません)

以上のような状況で、お子さんが不安になるのはとても自然なことです。

2、不安になった時は子どもにどんな変化があるの?

子どもたちは、言葉で伝えてくれる以外に、様々な形でサインを出してくれていることがあります。

・おねしょが増える、頻尿になるなど
・ご飯の量が減る/寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど
・腹痛などの身体の症状
・いつもより甘える、一人でいるのを怖がる
・会話が減った、なにか言いかけてやめるなど
・いつもよりこだわりが強くなる、なんども同じことを聞く、やる
・いつもより落ち着きがなくなる、そわそわする、イライラしやすい
・兄弟などとの揉め事や喧嘩が増えた
・勉強に集中できない 
など(ここに書かれているものだけではなく、様々な形でサインを出しています。是非子どもの調子がいつもと比べてどうかを丁寧にみてください)

低年齢であればあるほど、言葉以外で表現する頻度が多いかもしれません。また、周りの状況を繊細に見て、自分の不安や悲しさ、恐怖などを表出せずに、我慢しているお子さんもいます。一見何もないように見えるからといって、不安がないというわけではないこともあります。

また、子どもは遊びの中で様々なことを表現します。今回の感染症に関することを表現した時には、まずは無理に止めずに見守りましょう。もしよくない結果になりそうになったら、良い形で遊びが終えられるようにサポートしてみてください。

保護者も様々なことに注意を払っているからこそ、保護者だけでお子さんに気を配るのは難しい時期かもしれません。ぜひ複数の大人の目で細やかにお子さんに関心を向けていただけたらと思います。(様々な人が各地域で居場所をつくってしています。こちらも今後まとめていきます)



3、子どもにどんな関わりをしたらいいの?

①心と身体の変化に目を向ける
・いつもと違う状態や行動に気を配る
・子ども自身、自分でもどうして良いかわからないと感じていることも。大人からみたらいつもよりできないことが増えたように見えても、急かさず、子どもが何に困っているのか丁寧に観察する
②子どもに対する声がけ
・子どもの感情を言葉にして受け止めてみる
(例:悲しかったんだね。嫌だったね。嬉しかったね。楽しかったねなど。)
・子どもによっては自分が不安かどうかわからないこともあるため、子どもの身体の状態を手がかりに気持ちを探ってみる。
(例:そんな時は、「顔があついね」「いつもよりドキドキしてるんだね」「いつもより身体がかたくなってるね」など)。
・できるだけ肯定的な言葉がけを心がける。大人からみたら当たり前だと思うことでも、子どもにとってはとても頑張ってやっていることも。
(例:「歯を磨いたんだね」「着替えたんだね」と当たり前に目を向けて言葉にして伝える)
③生活の工夫
・可能な限りで子ども自身が日常で選択できる余地を作り、選択をまずは受け止める。(その上でもしその選択が叶わない場合は違う方法を提案したり一緒に考えたりする)。
※学校の休みやイベントの変更など、自分の意思ではどうにもならないことが続く時は、子どもが小さくても決められることをつくってみるのも大切なことの一つです。
・日々の中に、小さな楽しみや、ほっとできる時間をつくってみる
・身体をケアし、リラックスする時間をつくる
(例:深呼吸をする、手をぎゅっと握って開く、触られるのが嫌でなければ背中をマッサージするなど)
・普段と変わらずにできることは、可能な限り無理がない範囲で続ける
※規則正しい生活(いつもと同じように同じ時間に寝る、ご飯を食べるなど)は安心感につながります。
・もし外で遊べる環境がある場合は、外での遊びも日々の中に取り入れる。子どもたちにとって遊ぶことや身体を動かせることはとても大切なこと。
※外で遊ぶことが難しい場合などの遊びの工夫は今後取り上げていきたいと思っています。

低年齢であれば、いつもよりも甘えたくなったり、「見て見て」と共有することが多かったりするかもしれません。共有したいとういう気持ちはとても大切です。
もしすぐに反応できない時は、「宝箱」などを用意してみましょう。、「(子どもの共有してくれた)大事な宝物は、**の時間に見るね。楽しみにしてるね」と伝えて、宝箱に見てほしいものを入れられるようにする。また、壁に模造紙や新聞紙を貼って、「とても素敵だから、ここに飾ってね。**の時間に作品を見るね。楽しみにしてるね」と伝えて、作品を貼ってもらうのも良いかもしれません。
感染対策にとても気を使う時期だと思います。手洗いなどを促す時には、「手を洗わないと感染してしまうよ」ではなく、「手をきれいにして自分を健康を守ろうね」と肯定的に伝えたり、楽しく(ゲームにする、歌にする、遊びにするなど)手洗いをする工夫などをしてみてください。

4、新型コロナウイルスに関して子どもに伝える時

大人にとっても予測が難しいことも多いかと思いますが、今起こっている事実を子どもの年齢に合わせた言葉で丁寧に伝えてみてください。

・もし、わからないことがあった場合も、ごまかしたり、嘘をついたりせずに、「自分もわからないこと」を伝え、「もしわかったら伝えること」を丁寧に伝えてください。
・見通しがつかないと、なんども同じことを聞いてくるかもしれません。そんな時は、できる限りで同じことを繰り返し丁寧に、穏やかに伝えてください。

なんども対応する時間や気持ちの余裕がないことがあるのも自然なことです。そんな時は、「言ってくれてありがとう。」と伝えた上で、気になることを聞く時間を決めて、「その時間を気になること言ってね時間」にする/もし文字が書けるお子さんであれば、「気になることノート」や、「気になることボックス」を作って、ノートに書く、ボックスに気になることを書いた紙を入れるなどして、書いたものに答える時間を作る、あるいは書いたものに言葉で返信するなどをしてみてください。

*子どもに新型コロナウイルスについて伝える時はこちらを参考にしてみてください。(参考文献:藤田医科大学感染症科 「コロナウイルスってなんだろう」)


また、家族に感染した方がいて対応する必要がある時には、子どもがわかるたとえを使いながら丁寧に以下のように伝えてもらえると良いかと思います。

1)○○(家族の誰か)は熱があること(必要であればたとえを用いながら)。そのためにお休みする必要があること。
2)△△(お子さんの名前など)にうつらないように、別々のお部屋で過ごすこと。
3)見通しがわかっていたら見通しを伝える(例:「**日くらいだよ。**まで様子を見てまた伝えるね。それまでに心配なことがあったら言ってね」)
4)ほとんどの人は回復すること。
5)「もし気になったり、心配なことがあったらいつでもいってね」と伝えるなど、子どもの疑問や不安を受け止める。

感染して別々の部屋にいる家族とは、タブレットやスマートフォンなどでのオンライン通話などで、家の中でコミュニケーションをとれるようにするなど、お子さんが安心する方法を試してみるなどお子さんが安心できる方法を工夫してみてください。

*参考サイト:新型コロナウイルス、情報が届きにくい方(子ども・外国語話者・視覚/聴覚障害等)のサポート・不安のケアhttp://www.covid19-accessibility.com

最後に、何か予定していたことが中止になるなど、予定や計画に変更が生じた時の伝え方についてです。

学校や保育園の行事が変更になった時などは、その事実について丁寧に伝えて、その時のお子さんの気持ちを受け止めてください(嫌だったね、悲しかったね、など)。

感染により学校などの行事が取りやめになることもあるかと思います。このようなことは誰かが悪いわけではありません。是非、ご自身のお子さんの気持ちを受け止めた上で、感染したお子さんを労わるようなコミュニケーションをご自宅で取るなど「誰かを悪者にするのではなく、お互いを労わる言葉がけ」を心がけていただけたらと思います。

1)もし前もってわかっていたら、中止や休み、変更をあらかじめ伝える。
2)伝える時に、新型コロナウイルスの影響であることをわかりやすく伝える。(*新型コロナウイルスの伝え方については上記を参考にしてください)
3)子どもの気持ちを受け止める(例:「嫌だったね」「悲しかったね」など)。その時言えなくても、気になること、後から思い出して悲しくなったこと、不安なことなど、いつもで伝えてねということを伝える。
4)変更の場合、見通しがあったら見通しを伝える
5)変更、中止などの代わりに何をするかを伝える


子どもなりに、様々な状況を見ながら考え、理解しようとする中で、事実とは違う解釈をしていることもあります。

いつもと違うことが起こったり、身近な人が感染した時は、是非「誰かが悪いわけではないこと」を丁寧に伝えた上で、上記にあげたことを伝えてみてください。

子どもに関わる人の心のケア

子どもに関わる大人の方ご自身も、自分の家族のこと、仕事のことなど考えなければならないことが多く、余裕がない状況かもしれません。そのような時はぜひご自身の心と身体も大切にしてください。


1、こんな時はぜひ自分のケアを大切にしてください。


・いつもと違う子どもの行動などに対して、「自分が悪かったのではないか」などと自分を責めることが多くなる
・いつもよりイライラしやすい、不必要に子どもを叱る、わけもなく泣きたくなる、というようないつもより感情をうまく調整できない
・いつもより家事や仕事に集中できない
・家族や友人と会話をするのが億劫になる
・いつも楽しめていたことがあまり楽しめない
など(今回は新型コロナウイルスの影響を想定して書いていますが、このようなこと以外にも、身体や心に負荷がかかりすぎている時には様々なサインがみられます。是非自分の調子がいつもと比べてどうかを丁寧にみてください)

不安がある中で子どもがそれをなんらかの形で表出する(我慢している、いつもよりおとなしい、いつもより大人のいうことを聞くなども含めて)のは自然なことです。子どもがサインを出しても大丈夫だと思える安全な環境をつくっているということでもあるかも知れません。大人が落ち着いて関わることが子どもの安心にもつながります。そのためにも、まずご自身を大切にしてください。

2、自分の心を守るために

「子どもも自分も不安を感じていること、感じることは自然であること、不安な時に子どもや自分に何が起きて、それに対して何ができるかを知っておくこと」も一つの大切な対応です。ぜひ不安などのご自身の気持ちを否定せず、大切に受け止めてください。

感情を感じられるということはご自身の大切な力です。また、混乱していたり、疲れすぎていて自分の感情がわからないということもあるかもしれません。そのような時には自分の身体の状態(肩に力が入っている、胸のところらへんがモヤっとするなど)を大切な手がかりにして、いつもと違う身体の状態の時は休息をとってください。

1)SNSやテレビなどの情報媒体から離れる時間を定期的に作ってください。そして、自分の好きなこと、ホッとすることなど(好きな本を読む、歌を歌う、音楽を聴くなど)をしてみてください。自分にあったホッとする時間を探してみてください。
2)深呼吸をする、ストレッチをする、ゆっくり入浴するなど身体の緊張をケアする時間をつくってみてください。自分にあった方法を工夫してみてください。
3)いつもと同じ時間に眠る、同じように食事をとるなど、これまでと変わらずに続けられることがあれば、可能な範囲で続けてみてください。十分な睡眠と食事をとることも大切です。
4)できていないことに目を向けるのではなく、「できていること」「自分では当たり前だと思っていること」に目を向けて肯定してください。これまでもご自身が行ってきたストレスへの対処法や大変な時の経験で、自分や子どもの健康にとって安全で安心なものがあれば参考にしてみてください。
5)もしいつもより感情の調整ができずアルコールを飲みたくなることが増えたり、いつもより飲酒量や喫煙量が増えている場合は、代わりに誰かと話す(オンラインのツールを利用してもいいかもしれません)、ストレッチをする、漫画を読むなど飲酒以外で感情が調整できる方法もぜひ試してみてください。


など(これ以外にも様々な方法があります。是非ご自身にあった無理ない方法を探してみてください。詳しいストレスへの対応は改めて記事にします)

また、自分一人で頑張りすぎずに、誰かや信頼できる相談窓口に頼ることも自分や子どもの心を守る大切な方法です。誰かに相談することはとても勇気がいることです。けれど、先ほど挙げたような状態が続くような時は、一人で頑張りすぎないで時に、相談先を頼ってみてください。

各都道府県の精神保健福祉センター(厚労省から新型コロナウイルスに関する相談を受けるよう指示が出されています)

ストレス・災害時こころの情報支援センター



最後に

繰り返しになりますが、今は不安な気持ちを抱いていてもおかしくはない状況かと思います。「不安になりずっとSNSやテレビを見ている」「新型コロナウイルスのことばかり考えて他のことが手につかない」というような状態が続いている方は、SNSやテレビから離れる時間をつくってみてください。

予防しても感染する可能性はゼロではありません。なので、お互いの心身の健康を気づかいあい、感染した人を責めるのではなく、いたわり、回復に専念できる伝え方をするなど、日々のコミュニケーションを少しだけ工夫してみてください。できる限りでお互いを大切にし、労わりあって頂けたらと思います。

また、お子さんの居場所を運営したりご家族の相談を受けられる方、こころのケアを担当される方々は、もし可能なら、ペアまたはチームで活動にあたり、お互いをケアし合える体制でケアにあたっていただければと思います。

これを読んでくださっている方も、たくさんの情報がある中で、情報に触れ続け、いつもより不安になることもあるかもしれません。また、考えなければならないことがたくさんある中で、大変なことも多いかと思います。是非、ご自身の身体をケアし、ご自身にとって安心できる時間をつくる等、できる限りでご自身の心身も気遣って過ごしていただけたらと思います。

(*心の変化はそれぞれで異なります。また、ここにあるサインなどが全ての子どもや大人に起きたり当てはまるわけではありません。)

*認定NPO法人PIECESでは、今回の休校の要請を受け、市民の方が取り組む子どもたちに関わる様々な実践や知恵・知識を共有しお互いをサポートしあえる環境をつくる準備をしています。。

その中で、子どもに関わる方が活用できる様々なコンテンツを自由に使っていただけるような準備をしています。そして、お問い合わせフォームをつくり、こんなことを知りたい、こんなものがあったらいいなどの願いを教えていただき、コンテンツに反映していく予定です。

今回はその第一弾として、子どもや子どもに関わる方のケアについてを作成しました。

平時の際、ニュースにならないような日常のちょっとした思いやりや行動、そしてお互いを大切にしあう関わりがお互いを支えています。

まずはご自身や身近な方の心身の健康を大切にした上でですが、その思いやりの範囲を広げて、目に見えづらい困りごとを想像し、そこにある声やストレングスも大切にしながら、お互いを大切にする関わりを育みあえるのが市民(私も含め誰もが一人の市民)の強みでもあり、可能性でもあると考えています。今回のような有事の際に、そして今回に限らず平時も、一人の市民として様々関わりを生み出してる方々がいます。
見えづらい痛みに目を向け、誰もが大切にされ合う未来のかけらを生み出している実践者の取り組みの、そしてその先にいる子どもたちの安全で安心な環境の一助になったらという思いから、プロジェクトを立ち上げることを決め、準備をしています。

今後情報をアップしていきます。

お互いに知恵を共有し、学び支え合いながら、時に立ち止まって振り返り次に活かしていく、そんな温泉のようなほっとする安心な環境を工夫していけたらと思っています。

是非、こんなことがあったら一人よでやるより心強い、少し不安が和らぐ、こんなことがあったら使いやすいなどの情報を教えていただけたら嬉しいです。

参考文献:WHO 、兵庫こころのケアセンター「こころとからだのケア保護者の方々へ」


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Ibuki Ozawa
児童精神科医・精神科専門医 認定NPO法人PIECES代表理事。 twitter:@IbukiOzawa