結婚式に招待されて
たぶん誰かのキャンセルの代わりに、私に声がかかった。
そもそも私は大学生時代の友人が絶望的にいないため、結婚式に呼ばれるような間柄ではないと思っていた。
感染対策もバッチリなようなので、参加するつもりでいる。
でも、「穴埋めで、ご祝儀目当てじゃない?」と言うパートナーの何気ない一言に心が痛む。
そうなのかもしれない。
私は同じ大学の先輩ではあるが、金づるだと思われていたのも事実だ。
みんな知っている。
大した額じゃないから気にしてこなかっただけだ。
さみしくて暇な私を、よくバーベキューとかもんじゃ焼きパーティーとかに誘い出してくれた。
人より何年も遅れて青春を楽しませてくれた、良い思い出である。
…親には良く思われてなかったけど。
結婚式に良い思い出がない、というのも厄介だ。
私が出席した歴代の結婚式は、
翌年には、
おめでた婚だったのに子どもを亡くし、離婚した夫婦、
子どもを望む・望まないで意見が食い違う夫婦、
宗教が異なり、さらに転勤でずっと別居婚の夫婦、
などなど複雑な事情ばかりが判明したからである。
その場の華やかさに、今度もきっと目がくらみ、
演出された美しい親孝行に、気持ち悪くなる。
それでもそれでも、なにか厳粛な儀式、という不思議さに虜となってしまうのであろう。
まっすぐな思いでは見れないだろうし、
疲れるだろう。
知り合いはいるけど、
話し相手になるほどの人もいないかもしれない。
それでも、なんか好奇心で行ってみたい。
やめられないのだ。
好奇心とは、なかなか罪深い。