巣状糸球体硬化症(FSGS)について

この記事の内容

1.概要


巣状(分節性)糸球体硬化症は、ネフローゼ症候群の一種です。
巣状=全体的に
糸球体=血液の老廃物を濾過する装置が
硬化症=少しずつ固まっていく
という意味だと解釈しています。

ネフローゼ症候群の中でも、微小変化型と似た症状と形式を持つそうですが、
ステロイドが効きにくく、予後はあまり良くないとされています。
長年研究されているようですが、原因は不明な場合が多いとのことです。

私の場合は、親族に腎臓を患った人はいないので、遺伝の可能性は無く、
日常生活でも、特定できるような要因はありませんでした。
また、ネフローゼ症候群は、免疫系の疾患なのではないかと言われているのですが、
検査の結果、膠原病の一種を持っているそうです。
病因について主治医に聞いた時は「人によって違うのでなんとも言えませんね…」とのことでした。
煮え切らない回答でしたが、「考えても仕方ないか〜」と、この病気と割り切って付き合っていこうと思うきっかけの一つでした。
もう少し早く病院に来ていれば…とか、もっと身体を気遣っていたら…など、入院中はネガティブなたらればが常に頭から離れませんでした。
どうしても理由や原因を求めたくはなりますが、「自分のせいでもない」というのも大事です。
こんな風に簡単に切り替えられたら苦労しないんですが。

この辺りは長くなりそうなのでこれとは別の投稿で残したいと思います。


2.治療法


ステロイド薬
LDL吸着療法
免疫抑制剤(シクロスポリンなど)
腎移植

が挙げられます。
腎移植以外は一通り経験して、リツキサンという免疫抑制剤を化学療法で投薬するようになってから、数値が安定し始め、退院出来ました。
薬の種類については、利尿剤や抗凝固剤など20種類は超えていたかと思います。
ネフローゼ症候群の診断を確定するために「腎生検」という手技が用いられますが、
巣状糸球体硬化症と微小変化型は、初見の段階ではほぼ見分けがつかないらしく、入院は長引きました。
三ヶ月半、永遠かと思うぐらい長かった…。

3.予後と日常生活

恐らくこの病気の当事者であれば、誰もが気になると思いますが、
「で、将来的にどんな感じなの?」という予後についてです。
巣状糸球体硬化症は、ネフローゼ症候群の4類型の中でも予後不良とされています。
人工透析をすることになれば、一回四時間の治療を週三回受けることになり、
日常生活を送ることが可能と言えども、それなりの時間が取られることになります。

4つのサイトから予後について引用します。

「5年で85.3%、10年で70.9%、15年で60.9%、20年で43.5%」
https://www.shouman.jp/disease/details/02_01_004/

「腎生存率は10年で71%,20年で44%」
https://med.m-review.co.jp/article_detail?article_id=J0031_1001_0046-0051

「自然寛解が起こるのは患者の10%未満である。10年以内に半数を超える患者が腎不全となり,20%では治療にもかかわらず2年以内に末期腎臓病を呈する」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/03-泌尿器疾患/糸球体疾患/巣状分節性糸球体硬化症
「成人FSGSの腎生存率(非透析導入率)は10年で85.3%、15年で60.1%、20年で33.5%と報告されている」
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001009/4/nephrotic-syndrome.pdf

3つ目のメドレーの数字は国外の例も含まれていることを考慮すると、
大体の腎生存率は、「10年で7割、20年で4割」といったところかと思います。
個人的には、「治ることは無いし、10年後に透析してなかったらラッキー。20年後に透析してなかったら万々歳!」くらいに考えてます。

予後が良好とされている微小変化型の方でも、繰り返す再発でステロイド剤の副作用に悩まされている方は多いですし、
この先悪くなることは分かっているので、希望を持ち過ぎないことで気楽に過ごしています。

透析に関しては、インタビューなどが多く、具体的にイメージし易いこのサイトが参考になりました。

透析新ライフ
https://www.kissei.co.jp/dialysis/index.html

 


4.参考にしたサイト

MSDマニュアル
アメリカ大手でデータが膨大。欧米人向け?

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/03-泌尿器疾患/糸球体疾患/巣状分節性糸球体硬化症

メドレー
日本国内では比較的新しく、外部の医師からのチェックもあり、見易い

https://medley.life/diseases/54e727ea6ef458483585cde8/

ネフローゼ症候群 ガイドライン 2017年版


https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001009/4/nephrotic-syndrome.pdf

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