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竜神峡を泳ぐ『こいのぼり』に新たな命を吹き込む🎏 SCOI(水府コイノボリプロジェクト)vol.3

常陸太田市を拠点としている『SCOI』の活動を、3回に渡って掲載していきます。
VOL.1『SCOI』が生まれたきっかけ はこちらから ↓↓↓


vol.3 『SCOI』の活動の意味とこれから

 仕事や地域活動の合間を縫って制作を続けるSCOI。でも、その活動の面白さは制作とは別のところにあると言います。

 SCOIで得た収益は、個人に入るのではなく地域や勉強のために使っています。
 コロナ禍でイベントがなくて寂しいと言っているおばあちゃんたちを集めてお茶会を開いたり、ミヤタさんが企画する美術館の展覧会の視察に出かけたり、福祉関係の講演会に行ったりしているそう。
“何気なく生活していると、社会や環境のことについてなかなか議論がなされないまま過ごしてしまうけれど、そういうことも議論できるメンバーなんです。“

SCOIメンバーと地域の皆さん(イベント時)

 ただ、集まってバッグを作って終わりでは、ここまで続いていなかった。ミシンを持って集まっても、ミシンをテーブルの下に置いたまま話して終わることもある。そう言って、ミヤタさん達は笑います。
 
 そして、このSCOIの活動がメンバーの活動を活発にし、さらに地域の意識までも変化をもたらしつつあります。
 
“現代はSNSなど色々な情報が簡単に得られるため、一人一人の選択肢が多い環境です。だから、自分たちだけで楽しめればよいと考えてしまえば、コミュニティが立ち上がっていても来てくれる機会さえない。でも、そういう状況でも、全世代に参加してもらえるものは何かを考えなければいけないと私たちは考えています。”

 SCOIのメンバーは、地域コミュニティでのイベントを企画したり、ハンドメイド雑貨のマルシェを主催するなど、個々の活動も精力的に行っています。
 それぞれの活動のアイデアが、このSCOIの談論から生まれたり、SCOIに活かされることも多いそう。

左:新型コロナウィルス感染症流行初期に行ったマスクづくり(地域の施設などに配布)
右:ワークショップの様子

 ミヤタさんは、『SCOIは、社会実験の場所でもあります。』と語ります。
 
 “人が何者でもない状況でも、いかに豊かに暮らせるかを考えています。職業や立場が無くなった途端に、自分のアイデンティティも無くなってしなうのは寂しい・・・。
 SCOIは、何者でもない状況で自分が生きてきた中で紡いだ言葉や、考えたことを表現できる場所にしたいです。その最初の実験がこの場所。実は、SCOIはミシンを置いてしゃべることが一番大事だと思っています。”

 
 移住してから、少しずつ周りの人たちの考えが広がってきた印象もあるというミヤタさん。
 
 “私が、7年前に今の拠点に引っ越してきた時は、近所の方に仕事をしていない人と思われていたと思います。みなさん心配してくれてました。
 アートという領域で生活ができるというイメージがなかったんだと思います。でも、その内にどうやら生きていられるらしいという感じになって・・・(笑)
 いろんな表現や生き方があって、選択肢があるということを、こういった過疎地と呼ばれる場所にいるからこそ伝えていきたいです。”

 
 「自分の考えが変わった」と伝えてくれる地域の方もいるそう。
 
 “この地域は、とても寛容ですごく過ごしやすくて移住を決めました。こういう場所こそ、本当の意味で生きやすい環境になると思います。SCOIメンバーだけでなく、地域の人たちとも語り合えるような場所を増やしていきたいとみんなで考えています”
 
 メンバーの輝く笑顔がとても印象的でした。

今回 集まってくださったSCOIメンバー(左から大塚さん、ミヤタさん、関根さん)