見出し画像

テレビドラマ《BG〜身辺警護人〜》の裏話

テレビ朝日系列で現在放映中のドラマ《BG〜身辺警護人〜シーズン2》ですが、この作品の前作《シーズン1》の制作に携わらせていただきましたので、制作に至るまでのお話しや、作品の裏話について紹介したいと思います。

始まりは2017年。テレビ朝日のプロデューサーの方からの電話でした。
「ボディーガードに関するテレビドラマを制作したいと思っているのですが、これまでのボディーガードの映画やドラマは、アクションシーンばかりが目立ち、本当のボディーガードの仕事とはかけ離れているように思うのです。本当のボディーガードの仕事について教えてください。」というものでした。電話で詳しくお話ししたのですが、より詳しく話しが聞きたい、ということで、後日直接お会いすることになりました。

2017年6月、都内某ホテルのラウンジにプロデューサーの方がお越しになり、3時間ほどかけて、本当のボディーガードの仕事について紹介させていただきました。この時はまだ、主演が有名な木村拓哉さんになることや、その後大ヒットするドラマになるとは思ってもいませんでした。それまでに何度も受けた取材と同じように、本当のボディーガードとはどういうものなのか,実際にはどのような訓練を受け、どのような資格を持ち、どのような装備で、どのように警護業務をこなしているのかなど、いろいろと詳しくお話ししました。

すると、プロデューサーの方がさらに興味を持ち、「ぜひ一度、そちらの訓練を受けてみたい!」とおっしゃったのです。そして同年8月に開催した《AISP/IBA国際ボディーガード訓練》にこのプロデューサーの方が参加されました。10日間の基礎訓練のうち、最初の5日間のみの参加となりましたが、要人警護や身辺警護とはどのようなものなのか,ボディーガードの立ち居振る舞いや資質,脅威の評価方法や警備体制の作り方,警備計画の作り方や警備準備の方法などの座学はもちろんのこと、プロテクティブ・エスコート(警護エスコート:Protective Escort)やプロテクティブ・ドライビング(警護運転技術:Protective Driving),PRT(緊急時対処行動:Protective Response Tactics)や警護格闘術などの実技訓練も行いました。

BGはボディーガードの略称ではない

この5日間の教育訓練を通して、プロデューサーの方は様々なことを学びました。このドラマのタイトルにもなっている『BG』という単語。多くの視聴者は、これを『ボディーガード(Bodyguard)』を略したものだと勘違いしています。これも、プロデューサーの方が訓練を通して学ばれたことで、後日このドラマのタイトルを一緒に考えてもらいたい、と相談された時に提案した言葉のひとつです。

『BG』は『Bodyguard』の略ではありません。
要人警護・身辺警護業務は、チームで任務にあたることが多く、それぞれのポジションに名称と役割があります。警備中、プリンシパル(警備対象者:Principal)のもっとも近くに位置し、最後のフィルターとして警護にあたり、かつチームのリーダーとしての役割を担うのが、AIC(チームリーダー:Agent In Command)です。このAICを、英国などでは『BG』と呼ぶことがあるのです。つまり『BG』とは、警護チームのリーダーであり、プリンシパルのもっと近くで警戒にあたり、何か起きた際には最後の砦としてプリンシパルを護る、警護チーム内のポジションのひとつなのです。このことを表すセリフがドラマの中でも時々出てきます。
「今回の任務のBGはお前だ」
このセリフにある『BG』は、『ボディーガード』や『警護員』という意味では使われていません。『警護チームのリーダー』という意味で使われています。

このドラマのタイトルを決める段階になった時、プロデューサーの方から再度電話をいただきました。
「何か短い単語で、警護で使う専門用語で、でも視聴者の方々がこのドラマの内容を連想しやすい、タイトルになるような言葉はないでしょうか?」との相談でした。いくつか候補となるような専門用語をご案内し、後日、このドラマのタイトルが『BG』と決まりました。

他にもシーズン1では、プロデューサーの方が私たちの訓練の中で学ばれたことや、訓練の中で紹介した事例などが多数登場します。実際、ドラマが放映されると毎回、訓練の卒業生たちから、「これも訓練で指導したことですね」「訓練で話されていたことが出てきましたね」などと連絡がきました。少しでも本当のボディーガードの姿がテレビで紹介されると、私たちも嬉しいです。

このドラマの警備指導や監修は別の方(警備会社)がされておりますので、ドラマの中で主人公らが行うプロテクティブ・エスコートの警備手法や、エンバス/ディバス(車両乗降:Enbus/Debus)の手順などは、私たちのものとは異なります。私たちは、このドラマ制作のためのアイデアを提供し、脚本ができあがるまでのサポートさせていただきました。もちろんテレビドラマですので、ストーリーに脚色されたところは多くありますが、ボディーガードに関するとても良い作品に仕上がったと思います。嬉しいことにシーズン1は、私たちやプロデューサーの方の予想をはるかに超える大ヒットとなり、今回のシーズン2に繋がりました。残念ながら今回のシーズン2には関わらせていただいておりませんが、このような作品を通して、多くの方々にボディーガードの存在やその仕事を知ってもらえると、私たちとしても嬉しい限りです。

ドラマ『BG〜身辺警護人』シーズン2は、毎週木曜日21時から、テレビ朝日系列で放映中です。ぜひご覧ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?