『中国史史料研究会 会報準備号』とオーバードクターの苦境

『中国史史料研究会会報 準備号』が発刊されました。同時に同会への入会も開始され、なんでも単に中国史が好きなだけのぼくのような素人でも「オーディエンスとして学問を見る」ことができるということで、さっそく入会手続きをとりました。

 ネット上で話題になっているのは、台湾大学に応募して職を得るまで《メインの収入は京都大学医学部付属病院駐車場の整理誘導員であった》という日本の中世史学者、亀田俊和先生の「亀田俊和の台湾通信 第1回」。

 九州大学の件にみるように真摯な研究者が自殺に追い込まれるケースも出ていますが、学者先生がフト漏らすBildungsromanはいつも考えさせられます。

 《当時の私の肩書きは京都大学文学部非常勤講師であった。しかし担当授業は複数の講師によるリレー形式で、実際に授業を行うのは年に1回だけであった。この本業の年収は約8千円》このほか予備校模試の問題製作、執筆依頼などもあったが《結局、メインの収入は京都大学医学部付属病院駐車場の整理誘導員であった》《私が駐車場で働いていることを嘲笑している人々がいるという噂も聞こえてきた。職業で人を見下し、差別する人間は最低である》というあたりは涙なくしては読めない。

 大学の先生で時々、メンタルをやられているような方をお見かけしたり、クールすぎる態度をとる方がおられますが、これはテニュアをとるまでの経緯が大変だからかな、と(もちろん中には順風満帆の道を歩まれる方もおられますが)。

 にしても、高校教師という選択肢はなかったのかな、と思ったら「教員免許を取るの挫折しました」というお答えが…。

 同じ日本中世史では網野善彦先生も《ドイツ語の翻訳をしたり、出版社でアルバイトをしたり、都立北園高校の非常勤教師をごくわずかやっておりましたかね》と『歴史としての戦後史学』で書いておられたのを思い出したら、《歴史学者で定時制高校教員は結構多いんですよ》というReplayも。

 にしても、オーバードクターの処遇はほんと、考えてあげたいですよね…予備校のバイトなどもこれからは学生数少なくなって難しくなるだろうしとか色々考えさせられました。

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