消費カロリー>摂取カロリーで必ず痩せる?

否定はしていないです。

それは基本の考え方としては勿論正しいですし、とても大切な事だと思います。

ただそれを

"ダイエットの答え"
"これさえ守れば必ず痩せる秘密"
更には
"これが出来ていないから痩せない"

とされてしまう事に違和感を感じます。

「消費カロリー > 摂取カロリー になれば必ず痩せる」

というのは他の事、例えばサッカーに例えると

「自分の得点 > 相手の得点 になれば必ず勝てる」

みたいなもので、これは大前提、いわばルールであって、決して"指導"では無いと個人的には思います。
勿論、消費カロリーと摂取カロリーの存在を知らない人にとっては、そのルールを知るという意味でとても大切ですが。

本当に教えて欲しいのは"どうすれば自分の得点 > 相手の得点になるか"や"得点の取り方"では無いでしょうか?

そして、消費カロリーは正しく計算出来ません。
筋量、食べた物、運動量、代謝の上下、個人差、その他多く要素が計算のブレになる為です。

次に摂取カロリーですが、これも正しく計算する事が出来ません。

カロリー計算する場合、食品に記載されているカロリーを元にして計算すると思います。
しかし、食品に記載されているカロリーは、食品表示法で誤差が±20%の範囲で認められてます。

つまり1日の摂取カロリーを2000kcalに設定して、パッケージに書いてあるカロリーで計算した場合、実際に摂取したカロリーは最大で2400kcalまで増える可能性があります。逆に最小で1600kcalまで減る可能があり、最大と最小の差は800kcal(!)となる訳です。

消費カロリー
→正確に計算する事は出来ない。

摂取カロリー
→±20%の誤差が認められてる。

だから
"消費カロリー > 摂取カロリーなら痩せる"
っていうのは非常にあいまいな話で数百kcal位なら簡単にひっくり返ってしまう、という事を頭に入れた上で計算する必要があります。

果たして我々が計算した
「消費カロリー > 摂取カロリー」
は本当に「 > 」なのでしょうか?

では実際のカロリーと表示カロリーの差はいったいどの位なのでしょうか?とある研究ではこんな結果を示しました。

The Accuracy of Stated Energy Contents of Reduced-Energy, Commercially Prepared Foods
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2838242/#!po=7.14286

"実際のカロリーは表示カロリーと比較して、飲食店では平均18%、冷凍食品は平均8%、表示カロリーを上回っていることが分かった"
(※注 これらの差は測定誤差を大幅に超えていたが、測定値と記載値にかなりのばらつきがあるため、結果として統計的な有意性は得られなかった。)
"記載されているカロリーよりも実際の余分なカロリーは長期的に体重増加を引き起こす可能性があります。
例えば、1日2,000kcal/日を必要とする人の場合、1日あたりのエネルギーバランスがわずか+5%であっても、1年間で10ポンド(≒4.5kg)の体重増加につながる可能性がある。"

測定した中には表示カロリーの2.45倍(!!)のカロリーだった商品もあるそうです…

これぜひ日本でも同じような事を行ってみて欲しいですね。

個人的には
「これ実際のカロリーもっと高いんじゃ…??」
って事が多いような気もします。

「消費カロリー > 摂取カロリー になれば必ず痩せる」 という考え方は、指導する側には都合が良いのかもしれません。指導が3パターンで済みますから。(こんな雑な指導を行っているプロはいないと思いますが)

体重減った
→消費カロリーが上回ってますね!継続しましょう

体重増えた
→摂取カロリーが上回ってますね!もう少し消費カロリーを増やしましょう

体重維持
→もう少し消費カロリーを増やしましょう

しかし、"体重が減った"と一言で言ってもこれだけパターンがあります。

脂肪そのまま、筋量が減る(体脂肪率 増)
脂肪が減る、筋量そのまま(体脂肪率 減)
脂肪が減る、筋量も減る(体脂肪率 場合による)
脂肪が減る > 筋量増える(体脂肪率 減)
脂肪が増える < 筋量減る(体脂肪率 増)

ちなみに体重増は…

脂肪そのまま、筋量が増える(体脂肪率 減)
脂肪が増える、筋量そのまま(体脂肪率 増)
脂肪が増える、筋量も増える(体脂肪率 場合による)
脂肪が減る < 筋量増える(体脂肪率 減)
脂肪が増える > 筋量減る(体脂肪率 増)

これらはあくまで「筋肉」と「脂肪」にしか注目していませんが、実際はこれに「水分」等の他の要素が入って来ます。

その為、短期的な体重の増減で「消費カロリー > 摂取カロリー」の成否を判断する事は出来ないです。

1日で○g減った、○g増えたで一喜一憂せずに、週ごと、月ごとなどの中長期的な増減などで判断する方が良いのかもしれません。

「体重が増えてしまった…もっと摂取カロリーを減らさないと…」
と考えた増減の内訳は、体脂肪は減っていて、それ以上に水分が増えただけかもしれません。

逆に
「体重が減った!このまま続けよう!」
体脂肪はそのままで減ったのは筋肉なのかもしれません。

「消費カロリー > 摂取カロリー になれば必ず痩せる」
というのは正しいです、正しいですが、実際は机上の理論に近いものですから、これを「答え」や「ダイエット方法」のように扱うのはおかしいと思っています。

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