I am Kokichi —-1

ボクの名前は、コキチ。どこで生まれたのか
知らない。お母さんもお父さんも知らない。
とあるデンタルクリニックの
入院患者さんの癒やし猫だったらしいのさ。
そこで暮らした事は
あんまり思いだしたくない。
でっかいケージの中で暮らしていたけど
時々、みんなに抱っこされたり
撫でられたり、きっと可愛いがられて
いたと思うよ。でも何年いたのか
ボクには、数えられない。


ある日、病院が閉鎖されることになって
いまのおうちにもらわれてきたよ。

初めてお外へ出た時、初めての
風の音、におい、春の日差しにドキドキ
したのさ。雨がうれしくて、
あんまりうれしくて、
なかなかおうちに帰らなくて、
お母さんに心配かけたのさ。


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