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高橋裕紀選手インタビュー in SUGO

※はじめに:このインタビューの動画をYouTubeにアップしておりますので、ぜひそちらもご覧ください! 


 こんにちは!Ami.Uです。

 今回は全日本ロードレース選手権のST1000クラスに参戦している高橋裕紀選手のインタビュー記事です!

 先日8/9、10にスポーツランドSUGOで開催された全日本ロードレース選手権の開幕戦にお邪魔した際に、インタビューの機会をいただけました。お忙しい中快く対応してくださった高橋選手、そしてT.Pro.Innovationの手島様、磯部様、本当にありがとうございました!

 高橋裕紀選手は世界選手権(MotoGP)、アジアロードレース選手権全日本ロードレース選手権鈴鹿8時間耐久ロードレースなど様々な選手権でご活躍されてきたライダーです。今年から日本郵便Honda Dream TPというチームに移籍し、全日本ロードレース選手権に新設されたST1000クラスに参戦しており、開幕戦のSUGOラウンドでは優勝を飾っています。

高橋裕紀選手Twitter: https://twitter.com/yuking72

高橋裕紀選手Instagram: https://instagram.com/yukitakahashi72

高橋裕紀選手オフィシャルサイト: http://www.on-line.co.jp/yuki/



1 自己紹介をお願いします!

 今年全日本ロードレース選手権に新設されたST1000クラス(注1)に日本郵便Honda Dream TPから参戦している、高橋裕紀です。

(注1)ST1000クラス:1000ccのバイクで競われる、2020年に全日本ロードレース選手権に新設されたクラス。改造範囲が狭いためマシンによる速さの差が少なく、ライダー自身の実力勝負となりやすい。



2 日本郵便Honda Dream TPはどのようなチームなのですか?

 チーム監督の手島雄介さんはもともと同期で小さい時から一緒にバイクのレースをしていた仲間です。それとST600(注2)の、それもすごく仲のいい小山知良選手という方がいて、その2人がメインで作ったチームです。それで今年からモリワキ(注3)を卒業・移籍して、今に至ります。

(注2)ST600クラス:600ccのバイクで競われるクラス。ST1000同様、マシンの改造範囲が狭い。

(注3)モリワキ:国内外のレースで活躍していた名門メーカー・チーム。現在は全日本ロードレース・鈴鹿8耐参戦休止中。



3 『日本郵便』の看板を背負って走ることで伝えたいことはありますか?

 日本郵便の配達屋さん見ない日はありませんよね。その配達の方達が日本の中に少なくても約20万人います。多分細かいところまでいったらそれ以上全然いますが、その方達が少なからずこの活動を知っていると思います。なのでその人たち一人ひとりに対して少しでも勇気が届いたりこのチャレンジをしていることによって元気になってもらったりとか、普段僕たちは届けていただいている側なので、少しでもその恩返しをできればいいなと思って走っております。



4 開幕戦のレースはいかがでしたか?

 事前テストとレースウィークでずっとトップタイムではいたので、周りからは「余裕だろう」って言われていましたが、全然自分的には余裕ではありませんでした。レース序盤から、本当に余裕だったら序盤から引き離していけるはずだ、と思って全力で頑張りましたが、やっぱり自分の予想どおり、周りのみんなもすごく速かったのでなかなか引き離すことができませんでした。そうしているうちに転倒者が続出して、結果的には独走優勝にはなりましたが、やっぱりそこは自分の反省点ですね。


Q.レース中は何を考えて走っていましたか?

 今日は前にはライダーがいなかったので、もう自分の走りに集中することだけを考えていました。それで抜かれてしまったら頑張ってついていき、抜かれないのであればそのままトップを走り続けるだけなので、とにかくミスをしないように集中して、転倒しないギリギリを走るということだけを考えていました。


Q.ではあまり後ろは気にせずに走っていたのですか?

 そうですね、序盤で真後ろにいたのは音で聞こえていましたが、だからといって譲るわけでもなく、引き離そうとしても離れないので、自分の走りをしようってそれだけですね。



5 コロナの影響下での初レースはいかがでしたか?

 表彰台の上でも言わせてもらったのですが、やっぱりコロナって世の中の全ての生活を変えてしまったじゃないですか。その中で、僕たちレーサーもやっぱり走ってなんぼだったので、「じゃあ僕たちに何が出来るのかな」ってすごい無力さを感じていました。今回東北の菅生でレースが開催することが決まって、僕たちも含めてみんな待ちわびていたんだな、というのをすごく感じました。
 自分も普段から毎日野球やサッカーのニュースをテレビで見てはいませんが、なんかそれがやっていないとすごい寂しい感を普通の私生活の中でもやっぱり感じていて、あ、やっぱりスポーツって大切なんだなって改めて感じましたね。そしてその見る側じゃなくてやる側で、モータースポーツも今回始まりました。やっぱり応援してくれるファンの皆さんがいて、その前で走って、「感動しました」って言ってもらえるっていうのに僕たちもすごくやりがいを感じたので、それを再認識しました。

Q.当たり前が当たり前じゃなくなった感じですよね。

 まさにその通りですね。普通にできていたことに本当に感謝しています。



6 高橋選手にとってのバイクやレースの魅力を教えてください

 やっぱり生身の体がバイクの上に乗って新幹線以上のスピードで走るこの感覚って多分他に味わえないと思うんですね。ただそれだけでもすごいのに、やっぱりその中でバトル、接戦などのその駆け引きというところ、危険と隣り合わせの中でギリギリのところで走るレースの緊張感とかっていうのがやっぱりバイクレースならではなのかな、と思いますね。そこから私生活など生きていく上での勉強とかもできるので、僕は大好きですね。



7 高橋選手にとって世界と全日本の違いはなんですか?

 レベルもそうですし、やっぱり全てが違うような気がしますね。例えばぶっちぎりに速くて全日本チャンピオンになっても、「お前もう速すぎだから国内じゃなくて世界に行けよ」って集まったのが世界選手権なので、もう本当に世界のトップの一流ライダーが集まっています。そこでさらに一番を目指してみんな走っているわけだから、やっぱりもう本当のプロフェッショナルっていうイメージです。


Q.現状あまり全日本から世界に行けない状態が続いていますが、世界に上がっていくための全日本の改善点などはありますか?

 まずはやっぱりレベルも全盛期に比べては落ちてしまっているっていうところもありますし、じゃあレベルが落ちている原因は何なのか、っていうところも考えていかなければならないです。だから今自分が世界から戻ってきてこうやって走っている、イコールコンディションのバイクのレースに出ている、ということは若手も「僕を抜けば世界に行けるかも」って思うじゃないですか。だからそのためにも僕が老いて抜かれるのでは意味がないので、僕も成長して。でも自分でも世界チャンピオンにはなれませんでした。それをもう軽く「高橋選手全然遅いっすね」くらいのライダーが出てくるくらいな、元気のあるライダーいっぱいの全日本にしていきたいな、とは思っています。



8 今後の目標を教えてください

 次、第二戦岡山(注4)になりますが、今回できなかった序盤から、1周目からもうぶっちぎっていって、もう本当に速さを追求していきたいな、と思います。

(注4)9/5、6に開催予定だった第二戦岡山ラウンドは台風の影響で中止となりました。


Q.今シーズン全体ではいかがですか?

 約2ヶ月で全てが終わってしまうという異例のシーズンになっていますが、その中で守りに入ってはいけないですし、4戦全戦優勝してチャンピオンになるという意気込みで、一戦一戦大切に戦っていきたいと思います。

Q.この先のことを教えていただけますか?

 普段だったら開幕して中盤、夏くらいまでに来年の意向とかを考えるのですが、開幕がもう来年を考える時間になってしまっているので、ちょっと今いまっていうのは難しいです。まずはチャンピオンをとって、その先にこのST1000クラスがどういうカテゴリーに変わっていくのか、JSB1000(注5)に代わる日本のトップカテゴリーになっていくのか、というところも読めません。でもとにかく1000ccには乗っていきたいなとは思います。

(注5)JSB1000:1000ccのバイクで競われるクラス。ST1000よりマシンの改造範囲が広い、現在の全日本ロードレース選手権のトップカテゴリー。


Q.また世界に戻るというビジョンはありますか?

 もちろん戻るだけでは意味がないので、ちゃんと世界のトップで戦える条件であればもちろん考えています。ただそれがあるかどうかは別としてですね。



9 最後に見てくださっている方々にメッセージをお願いします!

 バイクの面白さは応援するライダーがいるかいないかとか、一緒に行ってくれる人がいるかいないか。ちょっと今はコロナの影響でなかなか会場に一緒に密になって行くっていうのは難しいとは思いますが、そこを徹底してやっていただいて、サーキットでしかやっぱり感じられない音や匂い、色々なことっていうのを一度体験していただきたいな、と思います。なのでもし機会があれば是非サーキットにお越し下さい。お待ちしております。

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