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20191021“This Is G.R.R.B.”@VARIT.

この日は雨が降るだろうな、とぼんやり思っていた。案の定、三宮には傘をさして歩く人だらけ。
雨の日は苦手だ。あたまが痛くなるし、髪を巻いても湿気でヨレるし、何より気分がしずむ。しかしこの日だけは違った!あたまの痛みも、ぺしゃんこになる髪もどうだってよくて、ゆるむ口もとを必死で抑えながら、浮き足立ってVARIT.まで歩いた。喉から心臓が吐き出しそうなくらい緊張もしていた。イヤホン伝いに鼓動が聞こえた。開演5分前に到着、VARIT.の入り口には列ができていた。

がらくたロボットのキャリア初となるワンマンライブ。いつかの雨の夜のライブで、ダイジロウは「みんな雨は嫌いやと思うけど、俺は雨にパワーをもらえると思ってる」と言っていたのを思い出した。雨を味方につけた彼ら、単純だが、間違いなくすごい夜になると思った。

列に並び会場に入ると、よく会うお客さんが「こんな日が来るなんてな」と言ってきた。彼女の目は少し潤んでいた気がした。

あ、この曲知ってる、と思って耳を傾けたらI Dont Like Mondayの「I Dont Like Mondays」が流れていた。そう、この日は月曜日。憎いくらい粋な選曲!

そのまま、お馴染みのSE「Land of Hope and Glory」が流れる。聴き慣れている曲なのに、私の期待からか、それともメンバーの気合いがフロアにも伝わっていたのか、いつもより荘厳な曲に聞こえた。フロアの観客も、野次を飛ばしており、高揚しているのがわかった。みんな一気にステージのそばへ詰め寄る。この日のダイジロウは白シャツに赤チェックのボンテージパンツ、フウタはグレーのジャケットに黒パンツ、タカヒロは黒いスーツだった。

そうして鳴ったイントロは、ずいぶん懐かしいものだった。予想外すぎて、まさか今この曲をやると思わなくて、脳みそが追いつかなかった。現メンバーになって初めて録った曲、「ジェティー」。ライブで聴くのは四年ぶりくらいだろうか。懐かしいのに音がパワーアップしていて違う曲みたいで、この時点で結構感極まってしまった。これを一曲目に選んだことが意味ありげに思えてしまう。思いたかった。とても鮮やかなスタートダッシュだった!始まったばかりだが、二杯目の酒を買わずにいられなかった。

続いてこれまた久しぶりの「リケルトンブック」。タカヒロのドラムの音がお腹に響いて気持ちいい。私が初めて買った彼らの音源の一曲目がこちらであった。あの、再生したときの高揚感よりもずっとずっとワクワクした。やっと脳みそが整理できて、ああ、ワンマンが始まったんだなあと実感できた。


意外にもはやかった、最初のMC。
フウタがPAに「マイク(音)返してください」と言い少々調整する。早速何かあったのかとこちらがヒヤヒヤしてたら、「まあ、(ライブには)なんかあるやろ」と飄々と言うダイジロウ。その一言にさえ沸くフロア!次の曲が待ちきれないと言わんばかりの熱気がムンムン溢れていた。

音の調整が終わって、真っ赤な照明に変わり、「Heartful Murder」のイントロが始まる。フウタは頭をブンブン振り、お得意のイナバウアー(?)で観客の目も楽しませる。「頭で笑う」のところで自分の頭を拳で叩くダイジロウ。やはり彼の一挙手一投足が見逃せない。ついつい、彼ばかり目で追ってしまう。

立て続けに「塗りつぶせ」。照明がチカチカする。上手で前のめりに、最前列の観客ギリギリのところでギターソロを弾くダイジロウ。「愛愛愛愛〜」の部分で、彼はステージ中央に立ち、手を挙げる。観客に大合唱させ、満足げにニヤッと笑った。一瞬だけ。

そして「Oh Yeah」を演奏。後光が差す中、嬉しそうに揺れながらフウタは歌う。珍しく、ダイジロウの額に汗が光りだした。一方タカヒロはスモークで見えない。ドラマーの宿命である…
この曲をはあたたかいのに、聴くといつも何故かさみしくなる。なんでだろう、と考えようとしたけど、心地よいタカヒロのドラムのビートと、いつもより優しいダイジロウの歌声で、歌詞のとおり飛びそうになった。

続けて「Lonely It's Alright」。すっかりお馴染みになったこの曲。観客は揺れたり、手を挙げたり、サビでは一緒に歌ったり、好きに楽しむ。
余談になるが、この曲のMVではモトコー(JR元町駅〜神戸駅間の高架下商店街)を歩いて撮られているので、そこへ行くときはこれを聴いて真似して歩いて「ロンリーごっこだ!」と遊んでいた。モトコーは近年完全に撤去されることが決まっていて、既に工事も始まっている。このMVも含め、がらくたロボットとの思い出がたくさん詰まった場所なのでさみしいが、こうやってライブで演奏し続けてくれれば嬉しいし、モトコーの思い出とともに新たにワンマンライブの思い出が出来たので、これからも嬉しい思い出をどんどん上書きしてってほしい。

気持ちの良いバキバキのベースが鳴り、始まったのは「One Hundred Guns」。フウタのベースが光る曲である。ライブではたまにしかやらない気がするが、彼らの曲の中で5本の指に入るくらい好き。タイトル通り、拳銃で撃たれたような衝撃があって、疾走感のある演奏と歌のせいで、脳天に銃弾をブチ込まれたみたいにクラクラする。何度も言うが、ベースの音がとにかく良い!この日はより一層そう感じた!

次は何が来るかな〜と考える暇もなく、「Strawberry Dreamers」。メロディアスでとにかく美しい曲。感想の「ランラン〜」とコーラスの場面では、この曲のMVのようにステップを踏みながら踊る客もいた。それを見てか、手拍子で更にフロアを煽るダイジロウ。そのあとの大サビ「もう飛べない小鳥は〜」では、叫ぶように、かつ艶っぽく歌う。何度も観ているはずなのに、この日はなんだかちがう人のように見えて、陳腐な言い方だが、また惚れ直させられた。色香にあてられ、くらくらした。

まだ聴き慣れていなくて全くの新曲かと思った「Sucide」。自分の記事を読み返すと、去年に聴いていたので一年ぶりである。そして以前も書いたが、曲名と裏腹に明るい曲。優しく諭されているみたいな歌い方。うーん、早く音源化してほしい!

そんな「Sucide」の優しい空気をぶち破ったのは「BREAK OUT」。いつもより速くて、なんだか生き急いでいるみたいだった。彼らの曲の中で格別にワルそうな曲で、投げやりのようだが、ちゃんとイカしてる曲だからずるい。かっこいいくせに「オレハ、デクノボウ」って叫ぶのもずるい。


そして二度目のMC。静まったフロアに向かってダイジロウは「(ここは)イェーって言うところやろ」と客を煽り、客がきちんと「イェー!」と答える。それに対し「うっさいだまれ!」と返す。なんて理不尽!しかし私を含め、客はみんな大歓喜していた。

そうして客を高ぶらせ、恐らく初披露であろう新曲「MONO」を演奏。展開が独特で、読めなかった。私が好きな途中で速くなるやつ!夢中すぎてメモもできてないし、はやくもう一度聴きたい。前髪をかきあげるダイジロウがただただ色っぽかった。

脳みそが興奮したまま「STOP」が始まる。ギターのリフが気持ちいい。喫煙所にいたLATLXのZIPさんが「ツェッペリンみたいなリフやな」と呟いていた。

興奮を一旦鎮めようと一服していたら、何百回、何千回聴いたであろうギターリフが鳴り、思わずフロアまで走る。彼らのファーストアルバムの最後に収録されている曲、「夜よりも」だ。ライブでは1年ぶり、もしかすると2年以上ぶりに聴いたかもしれない。彼らはこの曲を演奏しているときが一番美しいと思う。大げさかもしれないが、命を削って演奏しているような気がしてしまう。本当にどこか遠くへ行ってしまいそうで、少し不安にもなる。だが、それが儚げで本当に美しい。血液が逆流するくらいドキドキした。

「夜よりも」でフロアにまき散らした空気をそのまま、立て続けに「君は待ってる」。憂いを含んだ歌声と、それを支える演奏とコーラスにうっとりする。「聴かせる」曲だ。客も、聴き入っていたように思える。

そして、真っ暗な中ダイジロウにピンスポットが当たり、「Morning Glory」のイントロが鳴る。ていねいにていねいに歌う。最後の真っ白な照明は、朝が来たみたいでまぶしかった。

ダイジロウは優しくギターを弾きながらにやっと笑い、「今日ここに来れんかった人のために。ゲットアローン」と呟き、本当に久しぶりに「Get alone」を演奏。これ以上ないくらいに、優しい顔つきで歌うダイジロウにグッときた。目が潤んだ。

しっとりとした曲が続いたあと、アップテンポな「Bye Bye Baby」。ギターのカッティングの手の動きが速いなあとぼんやり見つめていた。
「俺らががらくたロボット!」とフウタが叫んだ。彼のパフォーマンスは見ているこちらも楽しくなる!次は何がくるのだろうとワクワクしていた。

ドラムの音だけが響き、ダイジロウはギターをかかげる。ベースも入ってきて、リズム隊の音だけが鳴り続けるなか、考え込むようにしばらくの間うつむくダイジロウ。かと思いきや、演説のようなボーカルが始まる。何だこれ!突然の新曲「GET」。先ほどまでの曲とは一転、何かが憑依したかのようなパフォーマンス。マイクが拡声器に見えた。ますますダイジロウの考えていることが解らない。
この日はワンマンライブだったので、彼らの曲をよく知って観に来ている人がほとんどだったと思うが、対バンで彼らを初見の人がよく「置いてけぼり」にされるのを見る。この「置いてけぼりにされる感」もがらくたロボットの良さだと思っている。かっこよすぎて、ついていけなくて、振り落とされ取り残される感じ。それがこの日も見れたのが個人的にはとても良かったです。どんどん突っ走ってほしい。

呆気にとられたまま、「街」。「月曜日は嫌いかー!」と前に出て叫ぶダイジロウ。月曜日にふさわしい曲。そしてBGMの伏線回収とも言えるであろう…
ばっちりなタイミングで「大嫌い!」と叫ぶ観客。
この曲は若さゆえのフラストレーションのようなものを感じていたが、歳を重ねることによって更に完成していく曲なのかもしれない、とこの日思った。昔よりもずっと説得力が増していた。本人達にはそんなもの必要ないのかもしれないけれど。

そして本編最後の曲「GOOD-BYE THE SUN」。この曲がリリースされたあたりは決まって最後に演奏していたことを思い出す。だからか、やはり聴くとさみしくなる。きらきら眩しい光を、こちらにたっぷり放ったまま、はけていった。


そしてアンコールに応え、ふたたびステージに帰ってくる三人。
「おっちゃんおばちゃんしんどないか」といつものように煽るダイジロウ。フウタが「まだいけるかー!!」と叫ぶと、ダイジロウは「そんな元気なきょくやらん」と言い、笑いに包まれるフロア。

宣言通り、しっとりした「ハネル」が始まる。
ああ、この曲も大好きなんだよなあとしみじみ聴いていると、昔の「ハネル、ワラウ、ウタウ」(2014年にリリースされた彼らの1stアルバムに収録。アレンジし再録されたものが「ハネル」。こちらは2017年リリースのEP「BREAK OUT 」に収録。どちらも絶賛発売中!是非どちらも手に入れて聴き比べてほしい)だったことに気付く。訳なんてないけど、涙があふれた。今までの想いすべてをこの日に連れてきたみたい。どちらの「ハネル」も大事に大事に歌い続けていくのだろうな、と思った。

アンコール二曲目は「My Way」。個人的にこの日聴きたかった曲で、彼らがもっと大人になってもずっと聴きたい曲。仲間と夜通し飲んでゴキゲンなまま迎えた朝のことや、ひとり泣き腫らした目で渋々歩いた朝のことを思い出した。頑張れ、と言われているわけじゃないのに頑張ろう、と前向きになれるし、ワンマンライブという晴れ舞台で聴けて嬉しかった。これからもこの曲が彼らと私の道しるべであってほしい。

そしてアンコール最後は「ディストーション」。この曲もエンディング感が強いなあ。以前のメンバー・イダハルキくん(私は彼がいたがらくたロボットは観れなかった)が書いた詞なのだけれど、これほどまでにがらくたロボットに合う曲はないなと思う。今でもずっと歌い続けているのが何よりその証拠なのかもしれない。
最後のサビではいつもダイジロウがフウタのマイクで一緒に歌う。このフロントマン二人のシルエットが私は好き。

拍手は鳴り止まず、ダブルアンコールでふたたびステージに帰ってくるメンバー。
「ええ音してたでしょ?今日鳴らしたかった音が(ずっと)鳴らしたかった音なんで、届いてたら嬉しいです」と微笑むフウタ。「Flying Man」のTシャツに着替えたタカヒロは汗を拭く。

そのTシャツの話題をしたあと「Flying Man」を演奏。この曲はなんといっても、演奏する側も聴く側もとにかくハッピーな雰囲気で嬉しくなる。観客もぴょんぴょん跳ねる。アップテンポな曲だが、ダブルアンコールと思えない、疲れを感じさせない速弾きギターとベース、ドラムパフォーマンスであった。

そして本当に最後の曲、「ツキノアリカ」。がらくたロボットの最骨頂とも言える、美しい名曲。この日はいつもに増してその魅力が爆発していた。ライブでも何度も聴いた曲だが、全く色褪せない。こうして長々と書いているわけだが、実際にあったことはこの日VARIT.に来ていた人たちと、彼らとの秘密である。おなじみの「シー」を聴くと、まるで彼らと共犯者になったようでワクワクした。

拍手大喝采、25曲を演奏し、幕が降りるかと思いきや、「ティリ・バーンズの丘」がBGMで鳴り、メンバーと観客で大合唱!映画のエンドロールみたいな光景だった。あたたかくて、やさしくて、走馬灯のようについさっきまでのライブ場面が脳裏に駆けめぐった。

ずっとずっと、勝手に悔しかった。
ちょうど、何か面白いことないかな〜とぼんやりしてたときだった。今回のワンマンをきっかけにすべてが良い方向へ向かえばいいな。

初めて出会ったときに一目ぼれで、それ以来ずっと同じ熱量で夢中にさせてくれているバンドはがらくたロボットだけ。彼らのことを思うたび涙が出る。それくらい好き。つまり、これはもう恋である。そしてこの記事は彼らへのラヴレター。出会って四年経つけど飽きる暇もない、飽きさせてくれないし!

どうやったら売れるか、とかあたしは素人だからなにもわからない。「もっとこうしたほうがいい」とか言うひともいるかもしれない。あたしはあの3人が好きなように音楽続けてくれりゃいいのである。

さて、本当にこんな長い文章を書いたことはない。こんなの読んでるヒマあったら彼らのライブを観てくれ!!!!

嘘です、とりとめもない文章だけど、読んでくれてありがとう。


さいごに、
がらくたロボットと、彼らに関わるすべてのひとに幸あれ!私たちの未来はきっと明るい!



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