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20181118“ECHOES”@108

がらくたロボットの自主企画ライブは随分と久しぶりのように思える。「ECHOES」と題した今回のイベントは、神戸で活動するバンドや、彼らと同世代の若手バンドを集め、三宮イーストのイカしたライブハウス・108で開催された。108の赤色は、彼らによく似合う。がらくたロボットという物語の新章が幕開けたかのような夜だった。

スモークが漂うなか始まった「産叫」。凛々しく登場した3人は、すぐさま「My Way」を演奏。タカヒロの疾走感のあるドラムでスタートし、フウタは力強くベースを高く掲げる。「Sing my way, my way」の部分では、指揮者のように指を振り、オーディエンスに歌わせるダイジロウ。フロアの殆どの人が腕を上げていた。「Shoot, shoot. Should I try again?」という歌詞がこの日は深く刺さった。My Wayを一曲目に選んだのは、彼らの決意表明だったのかもしれない。

続いて演奏したのは「Lonely It’s Alright」。

力強くイントロのギターを掻き鳴らすダイジロウと、腰を低く落として背中を仰け反りながらベースを弾くフウタ。二曲目ですでにフロアはヒートアップ。

ダイジロウは「今日は来てくれてありがとう」と切り出し、語り始める。

「今日はなんかの始まりの日や」と呟き披露されたのは、まだ音源未収録の「Flying Man」。

ダイジロウは光に照らされながら、まさにタイトルの如く飛び跳ねてギターを目一杯搔き鳴らし歌う。ギターソロのカッティングが激しくもとても美しい。アウトロでは、キレのあるドラムに乗せて、フロントマンの2人が背中合わせでギターとベースを弾く。その様子は、よくある言い回しにはなるが、3人がひとつになっているようで、胸が熱くなった。眩しかった。

その後のMCでダイジロウは

「今日はこんなにいっぱい来てくれてありがとう」と言うと、観客から歓声が上がるが「いやちょっと待てって言うところやろ」と突っ込む(確かに客入りはまばらだった)。そしてニヤッと笑い「革命の始まりはいつも少人数や」と悪ガキのような顔で言い放つ。

また「(今日の出演者ががらくたロボットと)出会った話をいっぱいしてくれたけど、ここにおることも俺らとお前らの災難やと思うから、しっかり生きてください」とダイジロウ。こういうところから、如何にダイジロウが罪深く、魅力的な人間であるかがわかる。この男はどうしてこんな言葉をサラッと吐き出せるのだろうか。

まんまと痺れさせられ、そのまま「ハネル」を演奏。ずっとライブで演奏され続けている曲ということもあって、他の曲より一層大切そうに弾き、歌っているように私は感じた。

それから披露されたのは「ツキノアリカ」。イントロではフロントマン2人がドラムに向かい、厳かにギターリフが入る。そこからタカヒロのドラムが混ざる。王道の展開でキャッチーな曲だが、歌詞にダイジロウ節が効いている。今年の四月に発売されたアルバムに収録された曲で、もうたくさん披露されているし、ライブでのキメ曲とも言えるだろう。

アウトロでダイジロウがいつもやる「シー(人差し指を口元に立てる)」はシャッターチャンスなので、端でカメラを構えていたら、どアップになるくらい近付いてきてくれた。ヤツは余裕たっぷりで、どこまでもずるい男である。

本編の最後の曲は「Strawberry Dreamer」。

「飛べない小鳥は〜」の部分で突然ギターが鳴らなくなり、そのまま歌うダイジロウ。最後には再び音が鳴り出し、ほっと胸を撫で下ろす。最後までがらくたロボットのペースでヒヤヒヤ、ワクワクさせられ、袖に戻るメンバー。

そして3人はアンコールに応え再び登場した。

「今日来てくれてほんまにありがとうございます。(アンプを指し)ええ音するでしょ」とニヤつくフウタ。ダイジロウが「もっと聞かせたれ」と言うと、フウタのバキバキのベースソロから始まる「One Hundred Guns」を演奏。久しぶりにこの曲を聴いたからということもあるだろうが、音源よりも逞しくなったがらくたロボットを感じられた。

そして新曲「スーサイド」を恐らく初披露。タイトルとは裏腹に明るい曲調だった。はやく歌詞をじっくり聴いて覚えたい。

アンコールの最後は「ディストーション」。最後の最後までフロアを沸かし、踊らせ、「ECHOES」は幕を下ろした。


私はずっとあと10年早く生まれたかった、と思っていた。しかし、がらくたロボットに出逢ってからはそうは思わなくなった。私と同世代で圧倒的にかっこよくて、哲学やロマンを持ち、私のようなクソガキをはじめ、オッサンオバサンをもときめかせ、たくさんワクワクさせてもらっているから。まだがらくたロボットのことを知らない人には“古い音楽を若者がやっている”と思われがちかもしれないが、そういった音楽を自分のものにし、昇華しちゃんと今の人達にも受け入れられ、愛されるバンドだと思う。もっと売れろ〜!!

セットリスト

1. 産叫

2. My Way

3. Lonely It’s Alright

4.Flying Man

5. ハネル

6. ツキノアリカ

7. Strawberry Dreamers

アンコール

1.One Hundred Guns

2.スーサイド(新曲)

3.ディストーション

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