がらくたロボット シングルカセット3部作について

2017年10月9日、12月6日、2018年2月2日に発売されたがらくたロボットのシングルカセット3部作。A面曲はすべてMVも公開されている。

まず最初に言いたいのは、どれがA面になってもおかしくないくらいのクオリティだということ。カセットプレーヤーを持ってる人は少なくなったし、ダウンロードがいちばん手軽に音楽を聴ける方法なのだが、こうやって形に残して楽曲を発表してくれるのはやはり胸がときめく。しかも、カセットテープは聴き込むとテープが伸びてしまう(と、一般的にいわれている)。そんなカセットテープにキラーチューンばかりを詰め込むなんて、なんとも粋でワクワクする!

そんなシングルカセットに収録された計9曲について私なりの解釈と感想を書いてみた。

SIDE A

1.STOP
シングルカセット3部作、第1弾として発表された曲。発表されたときに度肝を抜かれたことを覚えている。イントロからパンチが効いていて、繰り返されるギターリフと歌詞が耳に残る。ブルースを感じられる、がらくたロボットらしい一曲!

SIDE B

1.Ond Hundred guns
疾走感のあるドラムのビートと早口言葉のような歌詞が次々と雪崩れ込んでくる。まさに銃弾のような曲!かっこいい!2分13秒と短い曲のあいだに何度も脳天を撃ち抜かれる。

2.トンネル
先ほどの2曲とは打って変わってエモーショナルな一曲。「壊れそうな夜 月も見当たらず 空っぽの空 海よりも深く 飲み込まれそうで」という歌詞から始まる。暗い部屋で灯りもつけずに閉じこもりながらも、どこかへ逃げ出したくなるような自分の憂鬱なときの気持ちと重ね合わせてしまった。最初は「何処へ行くあてもなく」という歌詞が最後には「何処までも行けるはず」に変わっていて、救われるような気持ちになる。この言葉の選び方がダイジロウくんらしいと思った。

SIDE A

1.Strawberry Dreamers
なんといってもメロディが美しい!アコギの優しい音とエレキのシビれる音が合わさって心地よい。「外はまだ寒すぎる」というのは温室で育てられている春を待つ苺、「飛べない小鳥はデイドリームビリーバー」は文字通り巣立つ日を夢見る小鳥のことで、未熟者のことを例えていると解釈した。アウトロのギターソロも最高。

SIDE B

1.Oh Yeah
「オーイェー」ってタイトルはだいたいノリノリなあまり中身のない曲が多いイメージがあるのだが(わたしだけ?)、がらくたロボットの魅力は音だけでなく歌詞であり、やはりこの曲も然り。「めかしこんだ針の月」「たむろする昨日の夢」と「飛んでっちまえばいいから」というのはまさにStrawberry Dreamersの小鳥のことかもしれない。A面と立て続けに聴いたせいかな。

2.君を待ってる
イントロのギターリフが気持ちいい。「ぼんやり時が過ぎる」ではなく「時を眺める」という言い回しがなんかいいな、と思った。「君」は夕暮れを待ち、「君」が気付いてくれるのを歌詞の主人公は待ってる…。歌詞に「いつも聞こえないフリ」とあるから「君」は本当は主人公の気持ちに気付いてるのだろうか、だから静かに笑ってるのかな。…と、景色が目に浮かぶ歌詞だからいろいろ考えてしまう。そしてアウトロのアコギのソロ、めっちゃかっこいい!

SIDE A

1.Heartful Murder
シブい!今までのがらくたロボットの曲のなかでトップ3に入るくらいシブい!ちょっと懐かしくなるようなサウンド。murderの意味がわからなくて調べてから歌詞を読んで解釈しようと悶々としてたけど、その必要はない。考えずに感じる曲!予備知識なしでは理解し難い。敢えてどんな内容かはここには書かないが、彼の表現力には脱帽。

SIDE B

1.Andy's Trying(Andy’s Crying)
一年前くらいからライブでは披露されている定番曲。2番にベースとドラムのコーラスがあるのだけど、ついこの前のライブで聴いたとき、フウタくんの歌が上手くなったな〜とふと思った。安定していた!また、私事になるのだけどつい最近人生で初めて「トイストーリー」を観た。そのときアンディーという名前が耳に入って、脳内でこの曲が流れてトイストーリーどころではなくなった。

2.サナギ
コンガかボンゴの乾いた陽気な音とは裏腹に、歌詞はずっしりとしている。「18回目の鐘の音に叩き起こされて」「20回目のベルはもう鳴り止もうとしてる」「がんじがらめで動けないさなぎみたいだ」という歌詞からハタチがもうすぐ終わるダイジロウくんが、しがらみだらけの10代をサナギに例えながら回顧しているように思える。サナギだけどやっぱりおおかみだった。大人になった今の彼だから作ることができた曲だろう。

以上が9曲を聴いた感想。ダイジロウくんの書く歌詞は小説みたいで、彼はそのひとつひとつの歌詞の中に自分自身の世界を築き上げているから、何度も何度も聴いて歌詞の意味を考えてしまい、この文章にまとめてみた。がらくたロボットはめきめきとパワーアップしていて、悔しくなるほどかっこいい。昨年発売したミニアルバム「BREAK OUT」で呆気に取られ、私が毎日聴いているうちに、また更にかっこいい9曲をさらっと作っているのだから。夢中にならざるを得ない。そして、春に初めてのフルアルバムをリリースするそうなので、この9曲を聴きながら、またさらにかっこいい曲を聴けることを楽しみに待とうと思う。

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