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【初心者向け】ブル・ベアファンドを買ってはいけない理由を解説します

リスクを取りたがる個人投資家に人気

リーマンショック以降ずっと上昇をしきたこともあり、個人投資家はより大きなリスクを取ろうとする姿勢が続いている。投資信託販売金額ランキングには常にいわゆる「ブル・ベアファンド」がランクインしており、一部の人たちはその商品の特性について理解しないまま購入しているように見える。

ブル・ベアファンドに中長期投資での利用価値は無い

いつも言っていることだが、改めてその理由についてわかりやすく示したいと思う。

ブル・ベアファンドとは

対象とする指数(日経平均など)に対して、日々の値動きが4.3倍といったレバレッジをかけた商品で、その値動きには先物・オプション取引を主に利用している。短期的には日経平均などの値動きよりも大きなリターンを得ることができる一方、その特性から長期的には下落傾向が強く、2年程度の償還日が設定されている。

代表的な投資信託と基本情報

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重要な点は、3つ

1. 日々の値動きが、x倍になるようにしている
2. 先物・オプション取引を利用している
3. 信託報酬が高い

低下し続ける基準価額

ブル・ベアファンドの特性である、日々の動きが指数のx倍になるということが、時間とともに基準価額を低下させる原因となっている。例えば、指数が10%下落すると、3倍ブルファンドは30%下落する。その翌日に指数が10%上昇すると、3倍ブルファンドは30%上昇する。指数の動きは 100 => 90 => 99 となる。3倍ブルファンドの動きは 100 => 70 => 91 となる。指数は全体として1%しか下落していないので、気持ちとしては3倍ブルファンドは3%程度の下落であってほしいが、実際には9%の下落となってしまう。

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実際の値動きがどうなってるか
利用するのはeMAXIS Slim 日経平均 と、SBI 日本株4.3倍ブルファンド の2020年年初から12月22日までの基準価額データ。データの取得方法は別途ご説明します。青い線が、取得した基準価額データ、緑色の線が4.3倍ブルファンドを想定した、純粋に日々の値動きにレバレッジをかけたもの。そして、灰色の線が、SBI 日本株4.3倍ブルファンドの推移。

年初から日経平均は15.9%上昇しているのに対して、純粋にレバレッジをかけた緑色の数字は年初来20.5%上昇となった。これが4.3倍ブルファンドの期待値だが、実際のSBI 日本株4.3ブルファンドの灰色の線は年初来で13.3%となった。

これが、ブル・ベアファンドである。時間の経過とともに基準価額は低下する特性があるということを知れば、短期取引以外で利用する人はほとんどいないはずだが、以前に証券会社が一生懸命宣伝していたこともあって、この特性を知らずに取引してしまっている人も少なからず残っている。

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ブル・ベアファンド基準価額推移

今回わかったことは、ブル・ベアファンドはその特性によって基準価額が低下しているだけではなく、その他のコストによってもパフォーマンスを悪化させていること。1%程度の信託報酬を加味しても、理論値から5%以上乖離しているのは、先物取引を利用しているからとは、ちょっと大きすぎる。

短期取引ならETFを利用すればいい

短期取引でも、投資信託でブル・ベアファンドを利用する理由はほとんどないと思っている理由として、ETFの存在がある。短期取引で投資信託はそもそも向いてない。1日に1度しか注文できないし、価格も決定されない。値動きの激しい時期に短期取引をする身として、ETFで十分だ。流動性も考慮すると、この商品にたどり着く。売買代金上位に顔を出すくらいなので、みなさんご存知かな。

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