太陽と二匹の獣


 以前友人の占い師に頼まれてタロット占いをしました。使用したデッキはトートタロットです。そこでスターが出たのでそのことを友人に伝えると友人はスターが嫌いである言いました。

 ジョジョ読者からしたら信じられない発言です。嘘だろ承太郎、スタープラチナだよ!? 破壊力とスピードと持続力と精密動作性がAなんだよ!?

 というかタロットにおいて凶札と言われているのはデビル、タワー、ムーンあたりである。そこら辺が嫌いというのならわからんでもないが、スターの意味って色々あるけど概ね希望とかじゃん?どっちかっていうと吉札なのになんで?と友人に問うたところ、遠い感じが嫌とのことでした。

 ……まぁ、星は手に掴めそうに見えて掴めない遠いとおいところにありますからね。

 さて、せっかくなので私もなんのカードが嫌いかなーと考えてみました。と言っても私はカードの吉凶というにはその時々で変わるもんでもなしと考えています。そのため凶札のタワーやデビルやムーンは実占で出たらそりゃちょっとはゲェッって思うけどそこまで嫌いじゃない。

 じゃあ何が嫌いかなーって考えたところ、とあるカードが思い浮かびました。白い服の女性が獅子を飼い慣らしているあのカード。

 ライダータロットのストレングスです。日本語だと力あるいは剛毅ですね。

 いやー私あのカード出るたびに苦虫を噛み潰したような気分になるんですよね…。本能という名のライオンが理性という名の女性に押さえつけられているように見えるので。

 まぁ力が有り余っておれはやるぜ!おれはやるぜ!っていう状態だからブレーキかけろよっていうカードなんですが、人に指図されるのが嫌な気性難的にはうっせー!ってなるのです。

 なので私はトートタロットのルストが好きです。こちらは元はライダーのストレングスがクロウリーによってアレンジされたものでカードの名前が力から欲望になっています。

 カードの絵柄も女性に抑えられているライオンという絵ではなく、全裸の女性がライオン……というかモンスターに跨って聖杯を掲げている絵です。

 清楚な女性から官能的な女性になってるこの差がビッチ好みのクロウリーって感じがあって好きですね。そうそう、今日はクロウリーの誕生日なんですよ。なのでこれを書いています。

 ところで哲学者のプラトンさん曰く魂の三分説っていうのがありまして。魂は理知、気概、欲望の三つに分けられるんですって。そしてプラトンさんはこの理知を御者に、気概を聞き分けのいい馬、欲望を暴れん坊の馬に例えています。

 この図なーんか見覚えあるなーって思ったらアレなんですよ、シルバーチャリオッツ。タロットの戦車の絵まんまですね。

 いやーほんとね、こういうの西洋系哲学の知識がある人ならすぐ気づくんでしょうけど、学がないもんですからぜーんぜん気づかなかったです。というか手元の本(電書だけど)の戦車のページを開いたらちゃんと元型にプラトンの魂の三分説って書いてある……。

 さて、プラトンさんはこの三つの魂は理知は人間、気概はライオン、欲望はキマイラやスキュラみたいな多頭のモンスターとも言っています。

 つまりライダータロットのストレングスは理知と気概の組み合わせでトートタロットのルストは理知と欲望の組み合わせなんでしょう。「汝の意志することを行え」と言ったクロウリーらしいですね。

 そしてこの三つの魂は理知は頭、気概は胸、欲望は腹、厳密にいうと横隔膜と臍の間に配置されるらしいです。

 腹といえば生命の樹のティファレトの惑星照応が太陽で人体でいうと胴体とか胸とかなんですって。なんていうか人体の真ん中あたり? そしてこの人体の真ん中はチャクラでもは第三チャクラと言われていて色は黄色、そしてちょうどそのあたりに太陽神経叢があると言われています。

 ちなみにですねー太陽は西洋占星術では吉星、インド占星術では凶星なんですよね。西洋占星術では太陽は生きる目標と言われインド占星術ではエゴと言われています。太陽が担当する星座は獅子座で獅子座が管理する臓器は心臓ですね。

 何が言いたいかというと、まぁなんていうか人間は胸から臍のあたりに気概という名のライオンと欲望というに名の化け物を飼っていて、そしてそれらは時に太陽でもあるんだなぁって話です。

 これを読まれた方のお腹にいる二匹の獣は、気概と欲望のどちらが優勢でしょうか?

 どちらが優勢であろうと人間は自分のやりたいことしかやらないということを私は知っていますので、何も言えることなんてないんですけどね。

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