働いている人の手

手に自信がない。

深いシワがやたらと多くて、しなやかというよりは少しゴツゴツしていて、女性にしては大きい。すぐ荒れて年中指の腹の皮はむけているし、火傷跡も多い。小学生の頃にはおばあちゃんの手みたいだねと言われたし、撫でたくなるようなふわふわで白魚のようなものでもない。

だけどそんな自分の手が好きだ。
「働いている人の手だ。」と言われた時から。

まだまだ生まれたての赤ちゃんくらい働き手として未熟な私だが、ものを作り、人に喜んでもらうことが仕事である私にとって、その言葉は何よりの褒め言葉だ。

「働いている人の手」である限り、
私は何処かの誰かの小さな幸せの瞬間を作り出すために考えて、悩んで、進んでは戻ってを繰り返して、手を動かし続けているのだ。

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