一瞬の思考だけ


きみの視線の先、木の枝の先がそれほどまでに細くて、冷たくて柔らかい空気の中に溶けていっているんじゃないかと思う
空気は鋭さを撒き散らすように街を覆うのにわたしにだけだよって顔をしてそっと肌に触れる
暖かさをわかるように
貴方を理解したいのにな
どうしたって端正な表情を歪めるために生きてるんだよなんて馬鹿なことを考える
手首をどれだけ噛んでもわからないことがわたしを蝕んでいく
かつてそこにあったはずの温度やこれから出会うはずの熱がむずがゆい
無様な姿をさらしたくなるほどに
幻滅したって笑わせたくなるほどに
呆れてる、なんて顔をして真に受けてないって
傷つかないふりをしてやり過ごせばいいんだよね
要らない優しさを煮詰めてお裾分けしてしまう意地悪さをどこまでも捨てることができない
無関心を装った弱くていとしくて可哀想な人
気づいているのは私だけだよって
見え透いた嘘はほんとはとっくにバレているのかも
自暴自棄な人のつく嘘はこんなに滑稽で、可笑しくて、とてもかなしい
わたしたちはそのかなしさ笑わずにいられない
もうどうでもいい、どうせ刹那死んでしまうんだ
こんな恥ずかしい聖夜どうせすぐに忘れる

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