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月が綺麗ですね、はもう常套句のようになってしまって、今更君に白々しくそんな台詞は言えないけれど
どんな言葉を尽くしたらいいんだろう
好きな人といる時はどうってことないものまでこの目にうつくしく映ってしまうし、上手くいかないことまで愛しいなんてだから生きているんだよわたし
この世界につい感謝してしまって普段はこの世界なんて滅んでしまえ!なんて暴言を吐いている癖にぽろりと、
月が綺麗ですねなんてらしくない言葉を現金にもこぼす、かも
結局この台詞は単なる言葉通りの台詞ではなくて、空間を、表情を介して初めて伝わるものなんだろうな
言葉を信用しているつもりだけど言葉は全てを表せることなんてないし、
結局人と人との関わりで言葉は媒体のはずなのにわたしがあまりに言葉を信じたくなるのはのはきっと臆病だからだ
言質をとって安心しようとする弱い自分
形だけの好きなんかに意味なんてないのにね
今の世の中には月が霞むほどの煌めく灯りが一晩中光り続けているけど
なんだっていい、君となら
路地裏の猫だって、ファミレスのパフェだって、急に降り出した雨だって全てが、
きっと月になる



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