ゲームマーケット出店に向けたボードゲーム販売戦略
こんにちは。カナリアゲームスと申します。
先日のゲムマ2022秋に2回目の参加をしました。
無事に売上目標も達成でき、大成功の結果となりました。
今後、ゲムマに初出店してみたい!という方や、出店してみたけど思ったより伸びなかった・爆死してしまった・・・という方に、私が気をつけたポイントをつらつらと書いてみようと思います。
何かの参考になれば幸いです。
1)協力者を増やそう
ゲームを作って売ることにおいて、一人でゲームをデザインし、一人でテストプレイをし、一人で販売を行うこと。これを全て一人だけで完結することは、ハードルが高いといえます。
なぜなら、自分が面白いと思うゲームでも、他の人にとって面白いかどうかは不明だからです。また、一人でゲームを作ったとしても、テストプレイやデザインが他の人からどう見えているかが大切になります。客観的に評価してくれる友人がとても強力な味方となるのです。
もし、そういった友人が近くにいなくても、テストで遊んでもらえる人を募集してみたり、テストゲーム会に持ち込んでみたり、まずは協力者を増やすことが大切です。
2)勝負は半年前から始まっている
ゲムマ当日までに、実に多くの準備が必要です。
・ゲームデザイン・システム構築
・アートワーク
・印刷・コンポーネント制作
・広告・宣伝活動
・当日のブース運営
これらのスケジュールは、逆算して考える必要があります。
例えば、コンポーネントは余裕をもって完成を目指したいところです。
予期せぬトラブルで印刷や製造、運搬に時間がかかることはありえるからです。少なくとも1か月前にはコンポーネントが完成し、手元に届いていると、余裕をもって準備が進められます。こういったスケジュールを逆算すると、半年前から始めないと間に合いません。
さて、「デザイン、コンポーネント制作、ブース運営」に力を入れる人は多くいます。しかし、どんなに素晴らしいゲームも、ゲームマーケットの会場においては、埋もれてしまう可能性が高くなります。
その中で「いかに見つけてもらうか」という販売戦略が大切になります。
したがって、「広告・宣伝活動」がカギになってきます。
例えば、ゲムマの2週間前にコンポーネントが完成し、ブログやTwitterに公開したくらいだと、認知度を高めることは難しいといえます。
出店者はゲムマ公式ブログに記事を投稿することができますが、最近はバトルのごとく記事が乱立されているため、大きな広告効果はないといえます。
また、当日のブース設置や試遊に力を入れたとしても、まずは足を運んでもらうきっかけがなければ、販売に結び付けることは難しいのです。
なぜなら、購買意欲が高いひとは、事前に情報収集をします。そこで気になるゲームや買いたいと思うゲームがあれば事前予約をします。つまり、事前に情報収集をする人に向けて情報発信を行うことが大切となるのです。
3)「事前予約3倍」理論
「事前予約数の3倍くらいが売れるだろう」という予想理論があります。
例えば、事前予約が10個あったとしたら、ゲムマ2日間の合計で「30個ほど売れるだろう」という予想です。この予想は非常に大切で、事前予約が少なければ、注目度が低く、当日の販売数も少ないという指標になります。
ちなみに、カナリアゲームスの販売実績では、
・ゲムマ2022春 事前予約:21件(ゲーム個数23個)
→当日の販売数:65個
・ゲムマ2022秋 事前予約:12件(ゲーム個数は19個)
→当日の販売数:96個
このような結果でした。春はおおむね予想通りの結果となり、秋は予想を上回る嬉しい誤算となりました。2回目の出店としては大成功と言えるでしょう。また、足を運んでくれた方は「動画で見たことがあるけど試遊してみてから決めたかった」という声が多くありました。
つまり、事前に「知っていた」ということが大きな強みとなったのです。
4)人は何がきっかけでゲームを買うのか?
人がゲームを買うきっかけは様々です。友人に聞いた、Youtubeで見たことがある、ボドゲカフェで遊んでみたら楽しかった、SNSで見かけた、など。
まずあなたが持っているゲームはどんなきっかけで買ったのでしょうか?
それぞれ思い出して、書き出してみましょう。
おそらく、1つではないはずです。つまり、その経路はどれも必要で、どれも強化する必要があるのです。
例えば、ゲムマの1ヶ月前にYoutubeを開設し、そのゲームの動画をアップするだけでは、そこまで効果的ではありません。Youtubeは、登録者数が少ない状況で動画をアップしても、大きな再生率は見込めないためです。
1年ほど前から準備をして、Youtubeの登録者を増やしつつ、アプローチをすれば、強力になるのです。
5)カナリアゲームスが実際に行ったアプローチ
カナリアゲームスは、まだ立ち上げて歴史の浅いチームです。
2019年にゲームを作ることを決意し、3年ほど準備をしました。
そして、ゲムマに初出店したのは2022年4月です。
それまでに行ったアプローチは主に下記の3つです。
・カナリアゲームスチャンネル(Youtube)運営
・他のYoutubeチャンネルへの動画作成・出演
・SNS運営(Twitter、インスタグラム)
■カナリアゲームスチャンネルの運営
自身のYoutubeチャンネルは今まで趣味のマジックで動画をアップしたことはありましたが、ボードゲームの動画をアップするのは初めてでした。
まずはルール解説の動画と友人との対戦動画をいくつかアップしました。
この時点の動画再生数は100回程度です。しかし、初めて動画投稿をした場合、100回を超えることもハードルになります。
この時、動画の長さは長すぎないのがポイントで、3分~10分程度にまとめると良いでしょう。次に、将棋の親子棋士である塚田九段と塚田恵梨花女流初段をお招きして、対決企画を行いました。とても熱戦になり、また注目度も高く、反響もありました。ここで動画1本の再生数が1000回を超えました。(※記事の制作時点で5000回再生を超えています)
動画編集に全く触ったことがないという方は、動画編集ができる協力者を見つけるのも一つの方法です。ただ、凝った編集にこだわらなければ、iPhoneだけで、ある程度の動画を作ることも可能です。最初はクオリティにこだわらず、発信を始めてみることが大切です。
■他チャンネルへのアプローチ
麻雀のトップ女流プロである魚谷郁未さんと東城りおさんが出演されているりおみんチャンネルにてパストールで遊んでいただきました。
また、囲碁の女流棋士である 木部夏生さんのチャンネル、ボドゲかぞく様のチャンネル、夫婦バトルチャンネル、マーマンasobiチャンネル、リーダー&まなみん様のBoard Game Terraceチャンネル、麻雀女流プロの茅森早香さんのチャンネル、向坂みるさんのチャンネル、本当にたくさんの方に遊んでいただきました。
こういった動画によって、人の目に触れる機会が多くなります。全く知らないゲームから「見たことがある」ゲームになることが重要です。
■他Youtubeチャンネルへの依頼方法
Youtubeチャンネルへ動画作成を依頼するには、そのチャンネルの概要欄に記載のメールアドレスへ連絡するか、TwitterのDM(解放されている場合)に連絡をしてみましょう。
この時、きちんとビジネスとして、丁寧な連絡を心がけましょう。料金面については各チャンネルの方針や登録者数にもよるため、ここに書くことはできません。チャンネルの担当者様に連絡が取れたら、見積もりをしていただきます。少なくとも動画作成は労力のかかるものです。ある程度の費用がかかる心構えでいると良いでしょう。あなたのサークルが動画制作にどのくらいのコストをかけられるかは、予算との相談になります。
また、場合によっては、メールを送っても返事が返ってこないこともあるかと思います。それは仕方がないことなので、営業活動と割り切って、いろんなチャンネルへ積極的に連絡をしてみて、比較検討を行いましょう。
■SNS運営(Twitterなど)
SNSはそこまで強く力を入れた部分はありませんでした。ただし、アップをするときの写真のクオリティにはこだわった方が良いと思います。また、Twitterにはアナリティクスの機能があります。どのくらいの人の目に触れて、どのくらいのクリック率があったかなど、データでみることができます。反対に、やってはいけないこととして、個人的な感情やマイナスの投稿は控えましょう。あくまで製品のイメージとしてプラスになる投稿を意識する必要があります。個人アカウントとサークルアカウントは分けたほうが良いでしょう。
6)コンポーネントの強み・弱み
ゲームマーケットの会場において、圧倒的に多いのはカードゲームです。
したがって、「カードゲームはすべて同じに見える」といっても過言ではありません。いくらルールやイラストが面白くても、それが真理なのです。
カナリアゲームスが開発した「パストール」は見た目が他のゲームと異なります。その美しい見た目は、いろんな人に興味を持ってもらいやすいという強みがあります。
最近では、カードゲームで実現可能な内容でも、麻雀牌のようなコンポーネントを使ったり、ライナー・クニツィア氏の対戦ゲーム「ナイツポーカー」のように、コンポーネントの面白さがゲームを引き立てています。紙のカードはコストが安いメリットはありますが、見た目をいかに変えられるかどうかがポイントになってきています。
第2作である「鳳凰のタマゴ」はかわさきみなさんの可愛いイラストが特徴です。ゲムマ会場でのコンポーネントの強みとしては、パストールにはやや劣るものの、シンプルなルールが繰り返し遊びたくなる良い意味での中毒性があります。一度遊べばこの楽しさにはハマる魅力があります。
基本セットだけでも、10種類の中から5種類を選んで遊ぶため252通りの遊び方があります。幅広い遊び方ができるのが大きな特徴です。
7)テストプレイの重要性
カナリアゲームスが最初に開発したゲーム「パストール」はアブストラクトゲームです。ルールだけで構成されたこのゲームは、運要素がないため、場合によっては必勝法が存在しえます。
したがって、実際のコンポーネント作成前に、500回以上のテストプレイを重ねました。協力者が将棋部の友人や囲碁の有段者であったため、常に最善手は何か?を考えながらテストを重ねました。ルール調整の結果、シンプルながら奥が深く、いまだに必勝法は見つかっていません。
非常にクオリティの高いゲームを作ることができました。
ただし、私と将棋部の友人が研究を重ねた結果、二人とも他に相手がいないくらい強くなりすぎてしまったのが、寂しいところです。
しかし、こういったシビアな対戦ゲームでは、そのくらいのテストプレイを重ねてからのリリースは大切だと思っています。
また、ゲームはテストプレイを重ねなければ、レアケースにも遭遇しません。ルールの穴を見つけるためにも100回以上のテストプレイは必須だと思っています。それだけテストプレイもしても飽きることなくずっと遊べてしまった事実が大きな自信となりました。
8)ブース応対で「どんなゲーム?」と聞かれたら
「どんなゲーム?」と聞かれたら、30秒以内でシンプルに即答しましょう。
この質問をされて、ゲームのインストを始めてしまったり、要点がなく長い説明をしがちだったりします。
もちろん、こういった説明を聞きたい方もいると思いますが、ゲムマは会場が広く、時間がない方も多いです。まずは簡潔に答えて、興味を持ってもらったら、徐々に説明を追加しましょう。
なお、シンプルに説明することは、その場の思い付きでは難しいです。
あらかじめ言うことを決めておくと良いでしょう。
9)インストは台本を作ろう。
試遊があるブースではインストが必要になります。
あらかじめ台本を作っておかないと、説明する順番があべこべになったり、分かりにくくなったりします。最小限の言葉で分かりやすく説明し、興味を持ってもらいつつ、試遊を楽しんでもらうためには、台本は必須です。
台本を作ったら、友人や家族などに説明する練習をしてみましょう。
実際に説明してみて本当にわかりやすいかどうか検証をするのです。
終わりに
最後に、とても大切なことを言います。
ここまで記事を読んでいただいた方の中には「カナリアゲームス」という名前が気になっている人がいることでしょう。
つまり、この記事も一つの同線になっているのです。
様々なアプローチを行っても、売り上げに繋がるかどうか、確約できるものではありません。しかし、同線を増やすことで、ゲームの認知度は確実にあがっていくはずです。
そうすることで、当日のブース運営でも「見たことがある!」というような嬉しい声が増えるはずです。
皆様のゲムマ出店を心より応援しております。
カナリアゲームス代表 Koudai.
最後までお読みいただきありがとうございました!
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遊んでみたい!と思った方や、応援したいな!と思った方は、チェックいただければ幸いです。
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