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3分要約:現代訳羅生門    (出会い系編)

物語の舞台は東京都。
日暮れどき、ひとりの身分も低く、容姿も悪い
そんな男が新宿の東口で待ち合わせをしていた。

その頃東京では出会い系アプリの流行により、
弱者男性達は出会いに苦しんでいた。

東京での出会いはイケメン達に食い荒らされ、
出会いも需要もない弱者男性は野に捨てられるか
財布にされる始末。

生活も苦しく出会いのない彼は、
いっその事半グレか、田舎で農作業でもして暮らそうかと悩んでいた。

本日、新宿に来た理由。
それは遂に出会い系アプリでのマッチングが
成立したためだ。

希望と夢に満ちた出会い。

明日への第一歩を歩むために、男は新宿に繰り出したのだ。
待ち合わせのため、
服装を聞くと雨降る新宿の交番前に、
それらしき人物が立っていた。

恐る恐る、
覗いてみるとガンダムのような女性が
佇んでいた。

服装は合致しているが...、、
もう一度携帯を見直すと、そこに写るは
まるで清廉潔白、女神のような女性。

だが、目の前にいるのはガンダム。
どうすればこうなるのか?
いやもうこれは業者確定じゃないか。

だが、男は弱者男性。
選択肢が無い上、
苦言を呈せる勇気もないのである。

待ち合わせのまま、居酒屋に向かう事にした。

軽い身の上話をした。

話せば、延々と会ってきた男の自慢をする始末。

酒の勢いと話の苦痛さに憎悪に駆られた男は女の前へと歩み寄り、女の襟を掴み

「どうしてそんな話が出来るんだ。
そもそも写真と顔が全然違うではないか!」
と怒号した。

女は「加工でもマッチングするための正当な行為だ。」と説明し、さらに続けて
「そもそも本人の写真を使わないのは悪い行為だろう。だがマッチングするためには仕方のない事だ。私の友達も、同じように他者の写真を使っていた。それも現代日本でマッチングするための
行為だ。だから、男はその行為を大目に見るべきである」と語る。

女の話を聞いた男は、女のワンピースの襟を掴み、噛み付くように言った。「ならば、ここの会計は割り勘でも恨まないな。そもそもお前が業者なのは分かっている。恋愛市場では既に死んでいる身、今更失うも恥も外聞も無い」と。


半額の料金を叩きつけた男は、喚き散らかす女を
振り払い、夜の新宿へ消えていった。


男の行方は、誰も知らない。

*フィクションですし、経験談でも無いです。




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