「吉田佳奈子 × 鈴木えみ(Lautashi)」ライブ対談2021.3.6
鈴木えみがデザイナーを務めるアパレルブランド「Lautashi」とユーザーをつなぐ承認制有料コミュニティ「I to Lautashi(いとらうたし)」。 2021年3月6日には、海外でも活躍するメイクアップアーティストの吉田佳奈子さんをゲストに迎えました。過去に加茂克也やルチアピカと共に働き得たもの、成功の秘訣を紐解きました。
鈴木えみ(以下、鈴木) 本日はよろしくお願いします!メイクのことや経歴など、ざっくばらんに話していけたらと思います。まずは自己紹介をお願いします。
——— メイクアップアーティスト吉田佳奈子さん(以下、吉田) メイクになって13年くらいです。高校生の時からやろうと思って、大阪の専門学校に行ったけど、そのあとすぐにロンドンに留学して、フリーランスとしてやり始めました。
鈴木 高校生で将来を決めるのはなかなか難しいかと思うんだけど、これ!っていう感じだった?
——— 吉田 そうだね。中学生くらいからファッションに関係することをやりたいなと思いながら、高校生活も捨て難かったから専門的なところではなく普通の学校に行ったの。仕事にしようと決めたのは、そのあと専門学校に行った時。色々と情報が入ってきて、メイクという仕事について漠然としていたものが具体的になって、「私やっていけるかも!」と思ったんだよね。「お金を稼ぐための仕事」と「やりたいこと」を分けたくなかった。
鈴木 私は佳奈子ちゃんがロンドンからパリに行って、そのあと戻ってきたタイミングで初めて一緒にお仕事をさせてもらって、また海外に行きたいなって話していたのを覚えてる。
——— 吉田 2012年に出会ってると思うんだけど、そこからは日本でがんばろうという思いと、でももう一回海外に行きたいなという思いもずっとあって。でも、東京で働いたことも住んだこともなかったからベースを東京に持たないと、と思って働いてた時かな。
鈴木 最初に一緒に撮影した時に、「元ギャル問題」というのがあったよね。笑 ナチュラルと言われて仕上げるんだけど目力は出してくれていて、「あ、この人は元ギャルだな!」って直感的に思ったの。(笑)
——— 吉田 あ、バレた、出てるんだ!と思った。
鈴木 メイクしてて、自分はこういう女性像が好きなんだなって改めて思うことはある?
——— 吉田 女性像っていうほどしっかりした女性を思い浮かべているわけではないんだけど、その人にあったメイクをお願いされることがすごく多い。共通してやるのは、すごくナチュラルにして欲しいって言われても私は絶対アイラインを見えないように引く。
鈴木 それがこちらとしてはやっぱり心強くて。心持ちが変わるから。
——— 吉田 そこはやっぱり元ギャルとしてなのか(笑)譲れないところかなと思う。ちょっと自信が出るというか、気持ちに関わってくる部分だなって。自分自身もアイメイクをやめないことにずっとこだわってたから。
鈴木 どんなメイクをしてた?
——— 吉田 3年前まで付け睫毛をしっかり付けてたね。ちょっとナチュラルにするとかはあったけど、外すことができなくて。でもアレルギーみたいに目が荒れちゃって、17歳から付けてるから目が限界なんだなと思ってやめた。アイライナーでがんばったりもしてたけどそれさえも無理になっちゃって、シンプルなメイクに落ち着かざるを得なくなってここにたどり着いた。今はこれでいいと思ってるし、若くなったねって言われる。
鈴木 では質問いきます。「吉田さんのメイクテクニックでどんな風なマジックができますか?」さっきの話だと自信をつけるということかな?
——— 吉田 そうだね。その人らしさ・良さを引き出しながらカバーする、メイクを足す。この順番でこれを乗せたいというのは全然ないから、理想はその人のマックスがそこに来ればいいなと思う。私のメイクがしたい、というのが最初からあまりないんだよね。
鈴木 「メイクをすることで着る服や内面はどういう風に変わっていきますか?」
——— 吉田 どっちかというと、着る服によってメイクが変わったりする。昔はメイクをしたから自信が持てたり、思いを伝えることができていたとしたら、今はメンタルが落ち着いてきて、逆に色んなメイクができるとか、内面をメイクに反映させたり。
鈴木 そのマインドすごくわかります。強がりだったんですよね…。
——— 吉田 そうそうそう。強がってるんだなと思ってたし、強がらずにいける人ってすごいと思ってた。
鈴木 また盛る時代が戻ってきてて、楽しいなと思ってるの。
——— 吉田 今は盛り方がまた違うよね。カラーライナーを引いたり、目を大きく見せるだけというよりも色で遊んだり。そういうのがすごく楽しいよね。
鈴木 個人的に今ハマっているメイクはある?
——— 吉田 相変わらず囲み。囲みメイクはずっと自分の定番で、テクスチャーが変わっていく感じ。あとは、ペンシルでメイクするのが好き。ペンシルのクリーミーなテクスチャーがアイシャドウのベースにもなったり、キラキラのペンシルで粘膜に引いたり。
鈴木 私はベースとハイライトが楽しいのと、眉毛を一本一本描くが楽しい。「眉毛を描くのが苦手です」っていうコメントが来てますが、コツはありますか?
——— 吉田 1番薄いところから描けば全体のガイドラインが見えるよ。まずガイドを作るのが大事。アイテムは、描きやすさを重視するならペンシルタイプで、後ろにスクリューブラシがついているものがいい。
鈴木 「メイクはした方が気持ちが上がるのでメイクしたいのですが、一重でパンダ目になってしまうので普段ノーメイクの日が多いです。そんな人でも取り入れるといいメイク方法はありますか?」
——— 吉田 下瞼重視にしてみたらいいんじゃないかな。あとは、マスカラを塗るとどうしても落ちてくるから、色だけで楽しむとか。落ちてもかわいい色をつけるのもありだと思う。私も一重で上のメイクをすることに固執してたし、それが「みんながすること」だと思ってたけど、固定概念に囚われずにメイクをしていくと、上に塗らなくてもいいじゃんって思った。
鈴木 私のインスタにたくさんのお悩み相談が寄せられているんだけど、対人関係か進路で悩んでいる方が圧倒的に多くて。何でそんなに悩んでるのかなって考えた時に、きっと考え過ぎていて動けないの。そんな状況から脱却する方法って何だと思う?
——— 吉田 考え過ぎたらもっと情報を入れるのは?自分の固定概念の中での考えすぎだとしたら、もっと視野を広げて情報を入れてみる。それで可能性を増やしつつ、固定概念を外した自分をもう一回見つめ直してみれば、ちょっと楽になるんじゃないかな。例えば、私はメイクになりたいけどどうしようってなったとき、雑誌に載ってるメイクさんを全部リストアップして、その人たちがどういう経歴なのかをリサーチしてから、自分にはどういう道があるのかを考えてた。
鈴木 佳奈子ちゃんは常に5年後の自分がどうなっていたいかっていうのを逆算して進んできたわけじゃない?すごいよ!私はそれができないから本当に尊敬する。
——— 吉田 もちろんぶち当たる時ってあるから、そういうのを崩してくれそうな人にも言葉をもらったりしてた。自分でずっとやってたのは、その時々の自分の長所と短所を知って、短所をどう補うかをずっと考えてたよ。
鈴木 ロンドン時代やパリ時代、いろんな気づきがあったと思うけど、加茂さんのチームにいた時の経験は今どんな風に役立ってる?
——— 吉田 「固定概念を持たずに働く」というのがずっと活きてる。加茂さんがそうやってきて出た結果があるから、勇気づけられてきた。今でもずっと一緒にいられてよかったなと思う。自信がある程度ついたら、それがベースになってしまうかもしれないけど、私は自分がやってきたことはオプションだと思っている。
鈴木 年齢や経験を重ねるにつれて自分の「好き」が固まる一方で、柔軟性もなくなったりするから、そこは私も心がけていたいな。ルチアの時はどう?
——— 吉田 加茂さんで固定概念を緩めてもらったにも関わらず、メイクとしてのプライドを持ち始めた時だったと思うの。そこでもっとプライドを持って形にした彼女のもとに行ったことで、やっぱりそれは私には必要ないんだって実感した。そういう人に自分の意見をどう伝えるかっていうのが私の課題でもあったから、色んなアクションして試した3年間だった。
鈴木 これからのプランを教えてください。
——— 吉田 パリと日本を行ったり来たりしながら、化粧品を作りたい気持ちもあるし、私の根本的な考えを話せる場を作っていけたらいいなと思ってる。
鈴木 ずっとエネルギッシュで常に進化していますが、その原動力はどこから来てるの?
——— 吉田 人が好きなんだと思う。自分が思いつくものや見るものには限界があるし偏りもあるから、人と関わることで新しい考え方や世界が見える。それを国関係なくやっていたい。常にいろんな人とコミュニケーションをとって、分解した自分の思いをまた人に伝えたい。伝えるためには自分も学び続けないといけないので、ゴールはないね。変わり続ける時代の中で、私も変わり続けたい。
■「吉田佳奈子」
2008年 渡英
2011年 渡仏 加茂克也のチームにメイクとして参加
2012年 帰国 CHANELグローバルメイクアップ&カラーデザイナー ルチアピカの日本人初のファーストアシスタントとして3年間経験を積み、2020年末独立。
現在はパリをベースとして自身の活動をスタート。
http://kanakoyoshida.com
https://instagram.com/canakoxx
■「鈴木えみ」
1999年にモデルとしてデビュー。
2017A/Wに自身がデザイナーを務めるブランド「Lautashi(ラウタシー)」を発表。2019年に開始されたアマゾンファッションの新サービス「The Drop」の企画では、アジア圏では初選抜され完売が続き話題となるなど、各方面でプロデュース能力が注目され、その活動は多岐に渡る。
プライベートでは一児の母。
■「Lautashi」
2017年に鈴木えみが立ち上げたアパレルブランド。コンセプトは、「求めるものは奥行きのある佇まいと存在感、 そして内面から湧き出るしなやかさ。 存分に力を発揮できるように、鎧となろう。」 2020プレフォールコレクションより、デザイナーが幼少期を過ごした90年代の上海での記憶をコレクションに反映。
https://lautashi.com
■「I to lautashi」
あなたと私とラウタシーで”いとらうたし”な日々を共に過ごしていけたら、そんな思いで会員制の有料コミュニティを2020年5月1日にローンチ。
インスピレーション源や洋服作りのプロセスなどのメイキングを共有しつつ、ファッションだけにとどまらず様々な有意義な情報をシェアしコミュニケーションを取り、カスタマーとの密な距離感を目指す。 今後も積極的にライブ対談やオンラインワークショップを実施し、表面的ではない豊かさを常に意識したコンテンツを提供する。
https://lautashi.official.ec
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