洞窟の奥はお子様ランチ (毎週ショートショートnote)
「隊長、ありますかね?」
「ある!」
言い出しっぺは彼だが、地図を見るのは私。
木々の間を歩くと、色とりどりのオブジェが並ぶ広場に着いた。
「あの山を登って、降りた先のハンドルを回すと、洞窟が現れるそうです。」
「よし!」
山道の階段を上り、細いパイプでできた坂を滑り降りた。
揺れと痛みがどこか懐かしい。
地図の通り、車のハンドルのようなものを右に倒すと、直径50cmほどの洞窟が見えた。
匍匐前進で進む。
「ん?」
洞窟を出ると、子猫たちがご飯を食べていた。
時計を見て気付く。
「隊長、今日はダメです。」
「ん?」
2月22日なので…と言っても、彼には伝わらない。
ここでは、野生の生き物は鳥や虫ぐらいしか見なくなったはずだが、今日は特別だ。
「にしても隊長、ここがよくわかりましたね。
また今度来ましょう。」
キョトンとする彼は、ひらがなすらまだ読めない。
数字を覚え始めたばかりだ。
地図は所々破れていて、右端には「園」、その左に小さな「ム」とあった。
(410字)
※当記事は、こちらの企画への参加記事です。
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