スナイパーの意外な使い方 (毎週ショートショートnote)
「夏は出動が増えて、勤務時間も不規則になるぞ。」
初仕事で組んだ無口な先輩からの、唯一の助言通りだ。
暑さに人々が苛立つのもあるが、恋敵、意中の人の心、縁日の射的に水遊び相手、依頼内容は多様になった。
今日は久々に、例の先輩と仕事だ。
「よろしくお願いします。
にしても、こんな仕事…初めてです。」
大抵はタイミングを見計らうが、今回は秒刻み指定の時刻に発砲。弾の数は異常に多く、順番も決まっている。
相変わらずの先輩と、黙々と準備を進めた。
定刻になり銃を撃ち始めた俺は、手が止まりそうになった。しかし、興奮を抑え、失敗するものかと必死に続けた。
最終発砲を終え、先輩の顔に視線を移した。どこか柔らかな表情だ。
「終了です。驚きました。」
「お疲れ様。昇格試験、合格。
よほどの案件でなければ、今後は後輩とペアだ。」
「え?」
「優秀な働きぶりに、今回も動じずミッションクリア。
おめでとう。」
足元には白い花が咲いていた。
俺は今日、空、先輩との話、そして今後のキャリアに花を咲かせた。
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たらはかにさんの下記企画、毎週ショートショートnote 参加記事です。
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