「動物法」
先日、THE ペット法塾・全国ネットワークANJ主催「2024 動物をめぐる交流会」に参加しました。
国会議員・学者の方のお話、記者や団体の代表の方・弁護士など各方面から動物に関する活動報告や事例紹介があり、その内容は来年改正を迎える動物愛護法、昨年SNSでも大変話題となった上げ馬神事の問題、殺処分、地域猫、畜産動物と幅広く説明がありました。
動物愛護法改正を来年に控え議論もより一層活発となっており、多くの方がまずは法律をより良いものに改正し、そして改正後は法律が適切に運用されることを望んでいることと思います。さて、
この交流会に法学者の吉田真澄先生が登壇されました。吉田先生著の『動物愛護六法』は私の必携書。ここで、以前読んだ論文を思い出しました。動物に関する法律が日本の法体系においてどの位置づけになっているのかという興味深い論文です。
それは、一橋大学の青木人志先生の『「動物法」体系化についての一試論』です。
論文によると、動物関連の法律がどの法律に分類されているのかは一見してはわからず、『現行日本法規』や『現行法規』にも直接見ることはできない、とあります。
さらに動物愛護法をはじめ、家畜伝染病予防法や身体障害者補助犬法など動物関連の法律はいくつもありますが、その法的分類は『現行法規』において各々環境保全、農林、労働等の「編」に収められている、と読み取ることができます。
読み進めると、吉田先生による動物法分類の「提案」が示されています。青木先生の論文が2006年のものですので、吉田先生が動物関連の諸法律を立法的観点から分類されたのはこの論文以前。吉田先生は動物は現行法では「物」として位置づけられていることの認識を示したうえで、動物に関する法を体系的に整理しようという動きはこれまで見られなかった、と述べられています。私の知る限り、20年近く経った現在も動物関連の法体系の整理や、法律相互の整合性をはかる動きは存じ上げません。どなたかご存じの方いらしたらご教示ください。当時のこの「提案」は非常に画期的であったと思料します。
動物関連の法律はその所管がいくつもの省に分かれており、それらを体系的にとらえることが難しい。基本的な法体系の中に動物関連の法がばらばらに存在するのではなく、「動物法」の中に存在するようになることや、青木先生も言われているように、学問としての「動物法」が登場することも、そろそろ期待されるところではないでしょうか。
画像出典:パブリックドメインQ
https://publicdomainq.net/dog-cat-bulletin-board-0070543/
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