【随想】新聞各社の購読料金引上げ動向#2(2/6)

 今年の7月1日付で行われた日本経済新聞の購読料の引上げは、この一時点で見るのではなく、やや時間的に俯瞰してみると1社のみの行為ではないことに気づく。
 日本経済新聞は7月1日から朝・夕刊セットの月ぎめ購読料を4900円から5500円に引上げたが(朝刊のみの場合は4800円)、これに先立ち、朝日新聞が5月1日付で、朝・夕刊セットの月ぎめ購読料を4300円から600円引上げ4900円とした(朝刊のみの場合は 600円引き上げ4000円に)。この翌月6月1日には、毎日新聞が朝日新聞と同額の価格引上げを行なっている。さらに、産経新聞はこの8月1日にこれまでの4400円から500円値上げし4900円とし(大阪本社版で朝・夕刊セット)、朝刊のみの東京本社版については同じく500円引上げ、3900円としている。
 以上の動向を見てもあきらかなように、朝日(5月1日)→毎日(6月1日)→日経(7月1日)→産経(8月1日)と列をなして購読料の引き上げが行われ、料金それ自体についていえば、この数ヶ月のうちに、朝日、毎日および産経(大阪本社版)の購読料が4900円に揃ったことになる。
 これらの動きに対し、ややユニークな行動をとったのは読売新聞で、朝日による購読料引上げの発表に先駆け、「少なくとも向こう1年間、朝夕刊セットの月ぎめ購読料4400円、朝刊1部売り150円、夕刊1部売り50円を値上げしない」との宣言を行なっており、また、東京新聞も、3700円(朝刊のみの場合2950円)と2019年4月1日以降の購読料金を据え置いている。
 最近ではあまり注目されなくなったが、かねてより新聞各紙の購読料設定行動の多くは、時期、金額および引上げ率などにおいて同一であるといわれ、その協調的な行動がつとに問題とされてきた。
 今般のこの数ヶ月におよぶ新聞各紙の購読料引上げ行動はどのように捉えられるだろうか。これまでの経緯を踏まえ、考えていくことにしたい(2023年8月5日記)。

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