【随想】成年後見制度を考える#3−申請までのバタバタ……(3/6)

 後見人の申請は、大学の学期末試験が終わったあとの春季休暇を利用することにした。もちろん、郷里のある北海道はまだ雪の中だが、ちょうど札幌への出張もあり、昼間は業務、夕方以降は申請書類の作成に当てることにした。申請書類を提出するのは、本人である父が居住する地域の管轄裁判所である。わたしの郷里・芦別市は道央に位置し札幌から距離にして約120キロメートル、高速バスで約2時間弱の場所にある。裁判所がある滝川市は、芦別よりやや便利な場所にあって札幌から汽車で約1時間の場所にある。
 そこでわたしは、札幌に宿泊し昼間は業務に従事し、すきま時間を見つけて滝川や芦別に通い、夜は申請書類を作成することにした。事前にある程度用意できる書類は、なるべく故郷にいる弟にお願いしておいた。申請書類の一式も裁判所に取りに行ってもらっていた。
 北海道入りした日は、とにかく母の様子を見にいくために郷里にいったん立ち寄った。弟から関係書類一式を受け取り、翌日から昼間の仕事を終えると申請書類の作成に取り掛かった。そこでは、あらかじめ購入していたノウハウ本も役には立ったが、もっとも参考にできたのは、申請書類を受け取りに行った際に裁判所から渡された小冊子である。これは、非常によく書かれており、今回のように身内が後見人になるような「業として」ではなく「私的な」申請書類の作成だけならこれで十分であった。
 ただ、実際に作成していくと、あとからあとから必要な書類が出てきて、わたしも役所に証明書などを取りに走ったが、地元にいる弟にもふたたび動いてもらわなければならなかった(個々人の事情によりノウハウ本に出ていない書類を用意しなければならないことがあるからである。また、通帳のコピーなど関係資料の用意にも相当時間がかかった)。二日ほどの作業ののち、なんとか書類一式を揃えることができたので、この段階で、裁判所に電話をし、申請手続きに伺う日時を取り決めた。その際、この日は提出のみで、その後予定されている後見人候補者としての面談は後日行われるのかもしれないが、後見人候補者であるわたしが遠方であるということで、即日で事務官の面談に対応してもらうことになった(2019年5月5日記)。

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