【随想】郵便料金の設定と変更#2(2/4)

 郵便料金について、郵便法(昭和 22 年法律 165 号)は「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならない」と定め(法3条)、その設定ないし変更にあっては、あらかじめ総務大臣に届け出なければならないとしている(法67条1項)。
 その際、総務大臣は、その料金について「郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものであること」(法67条2項1号)、また、いわゆる定形郵便物の料金にあっては、「軽量の信書の送達の役務が国民生活において果たしている役割の重要性、国民の負担能力、物価その他の事情を勘案して総務省令で定める額を超えないものであること」(法67条2項3号)が求められている。
 郵便法3条にもあるように、郵便事業においては収支のバランスが図られなければならないのだが、日本郵便の営業損益は直近令和4年度 において211億円の赤字となっており、2007年の民営化以降初めて赤字となった。
 かねてからの郵便物数の大幅な減少傾向や賃上げ・燃料価格等の物価の高騰など大幅な営業費用の削減は難しく、郵便サービスの安定的な提供を継続するためには、早期の値上げが必要だとの判断が働いているようである。
 郵便料金の改定は、郵便法67条2項3号にもとづき、具体的には郵便法施行規則(平成15年総務省令第5号)の改正によって行われる。ただし、この規定が「総務省令で定める額を超えないものであること」と定めているように、その金額は上限価格となる。
 総務省は今般の定形郵便物の価格見直しについて、「2025年度の黒字を達成できる最小限の上げ幅にした」と説明しているように、その価格は上限に張り付くことが想定される(2024年2月5日記)。

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