川口市議会 次世代支援・教育力向上特別委員会(令和元年12月26日)

年末にさしかかる令和元年12月26日に「次世代支援・教育力向上特別委員会」が開催された(以下特別委員会とする)。年内最後の委員会である。そもそもこの特別委員会は、いじめ問題を集中的に議論するために開催している(他の特別委員会は閉会中)。令和元年9月に全員協議会を設け話し合うことも話には上がっていたが、自民の反対で特別委員会にて取り扱うことになった。9月8日に元市立男子生徒(過去3回自殺未遂)が「市教委は大ウソつき」と遺書を残して自殺した出来事もあり、市議方全員を交えた場での議論、検証が望ましいと考えたが、叶わなかったのが残念である。この自殺した元生徒は市教委が適切に対応していれば救えていたはずの命だと今でも思っている。9月といえば、市議会定例会において「教育長の再任を求める議案」がテーブルにあがっていたときでもある。もちろん賛成多数で可決されたが、市長の「現教育長は3年間の任期中に学力、体力ともに向上し着実に成果をあげた」という再任を求めた理由には、いまだに開いた口がふさがらない。あたかも自分にはなんら関係がないといったそぶりにも見える。その他には元男子生徒が、いじめで不登校となったのに学校や市教育委員会の対応が不適切だったとして市に損害賠償を求めた訴訟(損害賠償請求事件、個人情報不開示決定処分取消等請求事件)が進行中である。

ところで、26日の特別委員会の模様であるが市教委の冒頭での説明に対して各委員が質問する形式。この日は大きく分けると、「市教育委員会定例会の開催状況」と「いじめ問題の現状」である。市教委で月2回ほど開催される定例会においては、委員から係争中の案件については意見はでなかったという(情報共有はしているが委員へ意見は求めていないとのこと)。「いじめ問題の現状」においては、市教委の取り組みなどが紹介された。具体的には、・いじめ問題への取り組み・川口市いじめ防止等のための基本的方針の見直し・市立学校のいじめ防止の対応である。冒頭でも触れたが、そもそもこの特別委員会はいじめ問題の検証のための委員会ではなかったのか。市教委側が一方的に取り組みを語り、委員はその取り組みに対して質問をする。市教委の主張といじめ被害の当事者及び関係者、両方の話を前提に議論をするならまだわかるが、市教委の主張だけの議論が続く。これで果たして生産的な議論となりうるのだろうか。実際に市教委は過去、虚偽隠蔽と捉えられる説明をしていたこともある(資料1参照)。実はこの特別委員会の前日にあたる25日に、損害賠償請求事件と個人情報不開示決定処分取消等請求事件の口頭弁論がさいたま地裁であった。実際に裁判内容とお話を聞けるチャンスだと思うのだが、特別委員会の委員の姿はない。実際に出向いてお話を聞くことも市議の立派な仕事のうちのひとつではないのか。よその自治体には積極的に視察にいき、肝心の自身の自治体の問題には目をそらすことはあってはならないと思う。

委員会のなかで、川口市がいじめ防止法に欠陥があると主張(資料2参照)したことに対し坂本市議が「いじめ防止に欠陥があるという日弁連の引用があったが、引用した理由は」との問いに市教委は「裁判中のため...」とお決まりのセリフであった。さらに坂本市議の「(欠陥がある旨)を撤回しなかった理由は」との問いに対しては、委員長より「個人情報のため秘密会での取り扱いに」とクギが刺さった。この特別委員会では、通常の公開の後に「秘密会」が行われている。この秘密会で検証がしっかりなされているのであればいいのだが、実際になされているか否かの事実さえも我々市民は知ることができない。その他の委員からの質問としては、・いじめゼロサミットの効果・いじめ調査の際の親と子の関係構築について・いじめの初期対応について(担任の先生の相談先等)・いじめ加害者への指導とカウンセリングについてなどが挙げられた。

今年も終わろうとしているが、2019年は川口市が法律(いじめ防止法)を否定するという暴挙が世間で話題になった。学校と市教委の対応に子供たちだけでなく保護者側も不信感をもったのは間違いないであろう。引き続き川口市のいじめ問題への対応、またそれに対する市議会のありかたと関りを含めて注視していくこととする。


資料1:元生徒が自殺>遺書で「大ウソつき」と書かれた川口市教委に虚偽、隠蔽の可能性文科省が指摘 
http://www.saitama-np.co.jp/news/2019/09/11/02.html

資料2:川口の元中学生損賠訴訟 市側「いじめ防止法に欠陥」 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019091902000167.html

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