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鉱山

 私は趣味がない。絵を描くのも3Dモデルに凝るのも映画を見るのもnoteを書くのもそんなに好きではない。だから今考えるだけでワクワクするお菓子作りもきっと趣味にはならない。
    少し昔のことを思い出す。
 学生の頃は世の中がすごく狭く感じていた。趣味はアニメか絵かスポーツの3つしか選択肢はないと思っていて、選ばなければ自分がなくなるような気がした。結局お金がかからない絵に滑り落ちたが、今になっても死ぬほど下手くそだし部活でコンテスト用の絵を描かなければいけない時は、絶対に勝てない土俵にあげられたようで苦しかった。でも他より少しできることが絵しかなかったから、引き伸ばして生きていた。味がしないガムを3年間ずっとネチャネチャ噛んでいたみたいだ。
 前も書いたことがあるが、幸せは薄めることができると思う。絵を描くことは楽しかったという思い出を壊れるくらい再生して、風化してでかい鉱山になるまでずっと遠くから眺めていれば生活は終わる。私の心の中には砂漠も海も隠れ家もあるが、いつでもしとしとと雨が降っているので感情の風化が早い。でも楽しさを忘れない限り塵になって消えてしまうわけでは無いから、鉱山の中で新たに銀を探すのだ。そしてどんどん奥に潜っていって、老人になったら昔の楽しかったことしか思い出したくないなぁ。ね?そうだよね。

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