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039 TTWP ⑤水球の基本スキル:出足(あおり足)

あおり足は
脚のテコを最大にして大きな面を作り
縦方向の動きで水を挟み
それにより大きな水抵抗を作って移動する技術です。

個人的に出足の定義はあおり足がすべてではないと思っていますが、あおり足を出足として紹介します。この理由については記事の最後に私見を交えて述べます。

具体的なあおり足の打ちかたには触れていませんが、初心者の方に気をつけて欲しいエラーなどを紹介していますので、良かったら是非ご一読ください。


1. あおり足の解剖学

矢状面の動き
①股関節の屈曲と伸展
②膝関節の屈曲と伸展

ほんとざっくりですが、あおり足はこんな動きで成り立っています。

2. あおり足と平泳ぎ・蹴り足の違い

あおり足は脚を前後に開き、閉じる力を使います。(矢状面の動き)分かりやすく言うと、バタ足を最大の可動域で1発ドカン!とかます、みたいなイメージですね。

これに対して平泳ぎや蹴り足などは、脚を左右に開き、閉じる力を使います。(前額面の動き)

両者には決定的な動き方の違いがあります。

3. あおり足の構えについて

①足が水面から飛び出るじゃん

うつ伏せ姿勢で脚を縦方向に大きく開いてしまうと、片方の脚は水面から飛び出してしまい、脚の大きな面で空気を挟む時間帯が生まれてしまいます。

※こんなことする人まずいないけどw

これは大きなロスで、空気抵抗は水抵抗に比べて小さいため、うつ伏せ姿勢であおり足を打ったところで、体を移動させる力をうまく得ることはできません。

とはいえ、あおり足は縦方向の動き、、、大きく開いても片方の脚が水面から飛び出ないように工夫が必要です

②だから「半身」

その工夫として、あおり足を構えるところから打ち終わりまで、しっかり水中での横向き姿勢を保つことが大事です。これを私たちは「半身」と指導者の方から教えられてきました。

※絵心なくてすみません。一応半身をしていますw

そして、あおり足でもっともありがちなエラーは、半身が徹底できていないことです。

自分ではあおり足の縦方向の動きをやってるつもりでも、体が斜め姿勢を向いていたり、うつ伏せ姿勢になっていたりすると、脚が横に開いて閉じる動き、つまり平泳ぎや蹴り足で水を押してしまっている「なんちゃってあおり足」に繋がりやすくなります。

まずは半身を強く意識してあおり足を打つことで、縦方向の動きをしっかり体に叩き込んでください。


③スカーリングの位置

うつ伏せ姿勢では顔の近くでスカーリングをして上半身を、巻き足で下半身を支える4点支持が基本ですが、あおり足で半身になるときはスカーリングの位置も変わります。

あおり足を打つ前の引きつけで、巻き足の支えがなくなるため、2点で体を支える必要があるからです。

具体的には片方の手は頭の先、もう片方の手はお腹の前にくるようにセットします。こうすることで、巻き足を止めても足が沈むのを防ぐことができるので、慌てずに綺麗な構えを作ることができます。

※半身だとスカーリングはこの位置でやるのがオススメです

初心者は、スカーリングで上手く支えを作れていないと「足が沈む前に!」と、慌てて適当なフォームであおり足を打ちやすく、結果進まない、、なんてことになりがちです。

いい足の構えができる余裕を作ることも、あおり足の大事なポイントです。半身と合わせて、スカーリングにも気を配りましょう。

4. あおり足で大きく移動するためには?

①スピード

体の向きと構えをしっかり取って、正しい動きができるようになったら、力強くパワフルにあおり足を打ちましょう。動きのスピードが上がると水抵抗が増すので、その分自分の体は大きく移動することができるようになります。


②可動域

もう一つは両足を大きく開いて出足を打つことです。そうすることで、閉じる時に挟む水の量も、水を挟む時間も増えるため、さらに大きく移動することができます。

しかし、足を縦に開くためには股関節の可動域が重要で、これには個人差があります。

特に股関節を伸展させる可動域が小さい人は多く、普段から股関節の屈曲と伸展の可動域を広げる地道な努力が必要です。

毎回言ってますが、可動域が上がるだけで競技パフォーマンスが上がることになるんです。ストレッチも頑張りましょう。

5. 出足の解釈とあおり足を勧める理由

①出足の解釈

言葉遊びの話になりますが

出足の「定義」は辞書などには載っていませんが、要は水中で移動するための初速をつける動きのことだと僕は思っています。

そう考えると「別に平泳ぎの足や蹴り足でも初速はつくからいんじゃね?」という解釈もできるし、実際それはあると思います。

もし、あおり足より平泳ぎの足や蹴り足を使ったほうが初速がつく人は「最も初速のつく」ベストな技術を出足に選択すればいいのではないでしょうか?

また、一例として攻防の切り替えで体の向きを180度反転させて瞬時に動き出すようなシーンでは、半身や足の構えに時間のかかるあおり足は、実際動き出しまでに時間がかかって不利だったりすることもあると考えています。そのような時も蹴り足などを出足として使う選択肢は全然ありで、TPOによっても、出足の選択は変えていいと思います。

②出足の基本に、あおり足を勧める理由

簡単に考えを述べると

人間は圧倒的に普段から縦方向の動きを使っているからです。歩く時にわざわざ横歩きをする人はいないでしょ?また、走ったり飛んだり、力強く動くときも基本は縦方向です。

私見ですが、人の動きは普段から横方向の動きよりも縦方向の動きのほうがパワフルな使われ方をされているため、強い筋力とパワーを発揮できると考えています。だから、出足として紹介するのは、よりパワフルさが期待できる、あおり足です。

お疲れ様でした

僕は、水球選手には超短距離(5m以内)の泳スピードがとても重要なスキルだと思っており、そのスピード向上には、あおり足の能力がモノをいうとも思っています。

あおり足を磨いて、より大きな初速を得れるように頑張りましょう。let's thinking let's try!

#水球
#水球初心者

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