見出し画像

和文英訳演習室2024年1月号

【訳文】ペンネーム I am a cat.

The idea of shakaijin (a worker in society) is unique to Japan. This makes it extremely difficult to explain the word to the people from overseas.

To clarify the meaning, I always try to contrast gakusei (a college student) with shakaijin. The former is an immature student whose parents pay for college; the latter is a working adult who is independent. My explanation, however, seems to elude the non-Japanese.

In fact, most of the college students in their countries work to pay for tuition, and many of them are middle-aged full-time workers. Most Japanese students, on the other hand, finish their studies in March at the age of 22; then they all start working in the following month. Only in such a society, does the distinction between students and workers matter.

After all, people in Japan assume that gakusei will grow into shakaijin. Companies often train newly graduated employees to become full-fledged shakaijin through so-called “boot camp” training programs.
※太字部分は、じっさいの原稿ではイタリック体

【検討会後の反省点】
※後日、追記する予定。

【今回の方針】
いつもの『究極の英語ライティング』『メタモルフォーゼ』の2冊に加えて、『Elements of Technical Writing』を参照し、書かれている方針や表現を参考にした。

【訳文提出前に考えたこと】~『究極の英語ライティング』の復習~
「和文に忠実で文法や語法も問題がなく、大学受験なら満点がとれるレベル」ではなく「明解かつ簡潔に情報を伝える英文」
(1) 主語と述語動詞をできるだけ文頭に
(2) 弱い動詞ではなく強い動詞を使う(SVO 構文を中心に)
(3) 無駄な語を使わず言葉の燃費をよくする
(4) 旧情報から新情報へ
(5) 抽象的ではなく具体的に
(6) 否定文ではなく肯定文に
(『究極の英語ライティング』より)

(1パラ) 日本には、諸外国にはない「社会人」という概念がある。だから、外国の人に「社会人」とは何かを説明するのは、とても難しい。 
(コメント)
※日本語はイタリック体で表現、初出時には( )内に直訳を入れた。
「~がある」を機械的に There is … とはしない(本当に必要なときにだけ there 構文を使う)。「諸外国にはない」を肯定的な表現にすると「日本だけにある、日本独特である」。
「だから」も機械的に therefore などとせず、前の文の情報(旧情報)を引きついで、This を2文めの主語とすることで、2文の関係を表現した。
→ The idea of shakaijin (a worker in society) is unique to Japan. This makes it extremely difficult to explain the word to the people from overseas.
※太字部分は、原稿では(外国語であることを表す)イタリック体

(2パラ) 私は、「学生」と対比させて説明するようにしている。「学生」は、授業料を払って勉強をしている成長途中の人で、「社会人」は、成熟した大人で、仕事をしてお金を稼ぎ、自立している人だと説明するのだが、なかなか分かってもらえない。
(コメント)
1文が長いので3文に分割。前の文の情報(旧情報)を引きつぐために、To clarify the meaning を文頭に補った。2文め以降も旧情報から新情報への流れを意識。
「学生」は大学生であり、授業料を払っているのは、学生自身ではなく両親だと解釈。「なかなか分かってもらえない」を肯定的な表現にすると「(外国人の)理解をこえている」。はじめは [is beyond/defy] the understanding of non-Japanese なども考えたが、より短い elude the non-Japanese とした。
→ To clarify the meaning, I always try to contrast gakusei (a college student) with shakaijin. The former is an immature student whose parents pay for college; the latter is a working adult who is independent. My explanation, however, seems to elude the non-Japanese.

(3パラ-前半) なぜならば、諸外国では、ほとんどの学生が働いて自分で授業料を払って勉強しているし、会社で働きながら学校に通って勉強している年配の学生もたくさんいるからだ。
(コメント)
「なぜならば~からだ」をふつうに訳せば That is because … などとなるだろう。ただ、「社会人」は日本独特の概念だと、1パラですでに理由を述べている。ここではじめて理由を説明するというよりは、日本の特異性を「強調している」と考えて In fact とした。
→ In fact, most of the college students in their countries work to pay for tuition, and many of them are middle-aged full-time workers.

(3パラ-後半) 日本のように、ほとんどの人が三月に学校を卒業して、いっせいに四月から会社で働くような社会でしか、「学生」と「社会人」を区別する意義は理解してもらえないのだろう。
(コメント)
ここも1文が長いので2文に分割。対比を明確にするため on the other hand を補った。いつの三月、いつの四月なのかがはっきりしないので、それぞれ in March at the age of 22 と in the following month のように表現した。
「(~のような社会でしか)意義は理解してもらえない」を肯定的な表現にすると「(~のような社会でのみ)重要である」。旧情報から新情報へ流れるように2文めを Only in such a society ではじめたので、その後は倒置をした。
→ Most Japanese students, on the other hand, finish their studies in March at the age of 22; then they all start working in the following month. Only in such a society, does the distinction between students and workers matter.

(4パラ) それでも日本では、「学生が就職して社会人になる」ということは、当たり前のこととして受け止められており、企業はしばしば「新入社員研修」と銘打って、昨日まで学生だった新入社員に、社会人の心得を伝授する。
(コメント)
ここも1文が長いので2文に分割。「それでも」は訳しにくいが、After all(何だかんだ言っても結局のところ)とした。「当たり前のこととして受け止められて」は Japanese prople take it for granted that … もあるが、もっと簡潔な表現をさがして assume that … とした。
2文めは一字一句の置き換えではなく、意味を伝えること、簡潔に表現すること、英語として自然な表現になることを目指したつもり。
(例)
昨日まで学生だった新入社員 newly graduated employees
「新入社員研修」と銘打って so-called “boot camp” training programs
社会人の心得を伝授する train … to become full-fledged shakaijin
それらをあわせると…
→ After all, people in Japan assume that gakusei will grow into shakaijin. Companies often train newly graduated employees to become full-fledged shakaijin through so-called “boot camp” training programs.

【参考資料】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?